】健康保険証の廃止 マイナンバーカードは発行必須?<コンサルタント 鈴木大志>

2023年6月に成立したマイナンバー法等の改正により、現行の健康保険証は2024年12月2日をもって廃止となります。今回は、保険証廃止に伴い、マイナンバーカードを発行する必要があるのか等をお伝えしたいと思います。

現行の保険証は2025年12月1日まで有効

2024年12月2日になった瞬間から、お手持ちの保険証がただの紙切れになるかと言うと、そうではありません。
廃止と言っても、厳密には、再発行を含む保険証の「新規発行」が2024年12月1日まで、現行の保険証が発行されなくなるのが、2024年12月2日です。
経過措置として、1年間、現行保険証は有効ですので、2025年12月1日までは、お手持ちの保険証をそのままお使いいただけます。

マイナンバーカードを保有していない方には、「資格確認書」が交付されます

2024年12月2日以降、マイナンバーカードを保有していない等の方には、保険者から「資格確認書」が交付されます。たとえマイナンバーカードを持っていなくとも、「資格確認書」があれば、引き続き保険診療を受けることができます。

資格確認書とは

「資格確認書」とは、マイナンバーカードによるオンライン資格確認ができない方の被保険者資格を確認するためのものです。
・氏名・生年月日、被保険者等記号・番号、有効期限、保険者情報等が記載されます
・資格確認書の有効期間は、5年以内で、各保険者が設定することとなっています
・資格確認書は、原則、申請に基づき保険者が速やかに交付します(※ただし、下記に該当する方は自動的に交付されます)

<申請なしで資格確認書が交付される方>
・マイナンバーカードを取得していない方
・マイナンバーカードを取得しているが健康保険証の利用登録をしていない方
・マイナンバーカードの健康保険証利用登録を解除した方(利用登録の解除申請は、2024年10月頃から、保険者が受け付ける予定)
・マイナンバーカードの電子証明書の更新を失念した方
・マイナンバーカードを返納した方

「資格確認書」の運用・取り扱い

現段階では「資格確認書」が届かなかったら/紛失してしまったら/有効期限が切れたら等、どのような場合にどういった対応になるのか、具体的な運用・取り扱いは定まっていません。
基本方針としては、現行の保険証と同様に、保険者に申請書を提出することで(再)交付されるという従来の流れで検討を進めているようですが、この運用は現行の保険証と何ら変わらず、現行保険証を廃止する意味が無いように思われます。
「資格確認書」の運用・取り扱いについて、従来の運用に変わる有用な代替案もないので、ちゃぶ台返しはないと予想されますが、今後の動向に注目です。

マイナンバーカードは必須ではありませんがメリットも

現行の保険証は、1年間(2025年12月1日まで)使用できる上に、該当者には「資格確認書」が交付される為、マイナンバーカードは必ずしも必要ではありません。
一方で、マイナ保険証にすることで下記のようなメリットもあります。
①医療費の軽減: 高額療養費制度の適用が自動化され、窓口での支払いが軽減される。
②医療の質向上: 過去の診療情報や薬の情報が共有されるため、より適切な診療や処方が受けられる。
③手続きの簡素化: 転職や引越しをしても、新しい保険証(資格確認書)を待たずに利用できる。
④確定申告の簡便化: 医療費控除の申請がマイナポータルを通じて簡単に行える。

メリットも踏まえた上で、マイナ保険証を利用するのかどうかご検討下さい。

この記事を書いている人 
-Writer-

鈴木大志

コンサルタント

【略歴】千葉市生まれの茨城県は稲敷市育ち。獨協大学法学部卒業。
給与計算や社会保険手続きを担当。迅速かつ正確な対応を心掛けながら、顧問先ごとに最適なサポートを模索中。

前職の商社で鍛えた事務処理スキルを活かし、業務の効率化には自信あり。チームワークを大切にし、より良い提案ができるよう日々アップデート中。趣味はダイビング・料理・筋トレ。水中でもキッチンでもジムでも、探求心は尽きない。

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