】~フリーランス保護新法について-その②~<よつば総合法律事務所 弁護士 村岡つばさ>

よつば総合法律事務所の村岡です。
前回に引き続き、フリーランス保護新法の解説記事です。
今回は、法律上の義務・禁止行為の内容についてお話します。

1 法律上の義務

 フリーランス保護新法により、様々な「義務」が発注者(事業者)側に課されることとなりました。大きく分けると、「取引の適正化」と「就業環境の整備」の2つを目的として、発注者側の義務が定められています。義務の内容(項目)は以下の通りです。

① 取引条件の明示義務(3条)
② 期日における報酬支払義務(4条)
③ 募集情報の適格表示(12条)
④ 育児介護等の業務の両立に関する配慮義務(13条)
⑤ ハラスメント対策に係る体制整備義務(14条)
⑥ 中途解除等を行う場合の事前予告・理由開示義務(16条)

 ①については、フリーランスに業務を発注する「全ての発注者」が負う義務ですが、②~⑤については、発注者の属性や契約期間により、義務を負うかが異なります。
 細かい説明はここでは割愛しますが、「特定業務委託事業者」(㋐従業員を使用する個人or ㋑2人以上の役員がいるか、従業員を使用する法人)は①②③⑤の義務を負い、この特定業務委託事業者が一定期間以上継続して、フリーランスに業務を委託する場合には、④⑥の義務も追加で負う、という程度に理解いただければと存じます。

2 禁止行為

 上記は発注者側の「法律上の義務」ですが、それとは別に、行ってはならない禁止行為が第5条で定められています。具体的には、①(成果物の)受領拒否の禁止、②報酬減額の禁止、③返品の禁止、④買いたたきの禁止、⑤購入・利用強制の禁止、⑥不当な経済上の利益の提供要請(リベート等)の禁止、⑦不当な給付内容の変更・やり直しの禁止が記載されています。いずれも下請法上の禁止行為と共通しています。
 なお、これらの行為は、全ての発注者が禁止されるわけではなく、上記1で見た、特定業務委託事業者が一定期間以上継続して、フリーランスに業務を委託する場合にのみ禁止されます。

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村岡つばさ

よつば総合法律事務所 企業法務部門責任者・弁護士

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【略歴】早稲田大学法学部・慶應義塾大学法科大学院卒業
千葉では珍しく「企業法務案件」のみを扱う弁護士。
会社側の労働案件が専門分野。
社労士会、税理士会、弁護士会等各種団体で研修・セミナー講師を多数担当。
税理士法人レガシィより
「これだけやっておけば良い!パワハラ防止法対策」
「使用者側目線 労災対応ノウハウ」セミナー発売中

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