【東京商工リサーチ掲載記事】雇用保険制度等改正により『出生後休業支援給付』と『育児時短就業給付』が創設されました。<社会保険労務士 伊藤美由起>
子ども・子育て支援法等の一部の改正により、『出生後休業支援給付』及び『育児時短就業給付』が創設され(令和6年6月12日に交付)、令和7年4月1日から施行されます。
『出生後休業支援給付』
■背景
夫婦ともに働き、育児を行う「共働き・共育て」を推進する必要があり、特に男性の育児休業取得の更なる促進のため育児休業給付に上乗せすることで、男性も育児休業を取得しやすくする狙いがあります。
■内容
子の出生直後の一定期間以内(男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内)に、被保険者とその配偶者の両方が14日以上の育児休業を取得する場合に、最大28日間、休業開始前賃金の13%相当額を給付し、育児休業給付とあわせて80%相当額(手取りで10割相当)が支給されます。
※給付は非課税であり、かつ、育児休業中は社会保険料が免除(要件あり)されるため、休業前の手取り額と比較すると、実質的には10割相当の給付となります。
■支給要件
・被保険者と配偶者の両方が14日以上の育児休業を取得
■支給申請
原則:事業主経由とし、育児休業給付金の初回申請又は出生時育児休業給付申請と兼ねて申請します。
例外:被保険者が配偶者に関する関係書類を事業主経由で提出することを望まない場合や、出生後休業支援給付金の支給要件を満たすのが育児休業給付金又は出生時育児休業給付の支給後となる場合は、事業主経由ではなく被保険者本人が手続きを行うことや事業主が出生後休業支援給付金の支給申請を単体で行う事を可能とする。
『育児時短就業給付』
■背景
現状、育児のための短時間勤務制度を選択し、賃金が低下した労働者に対して保証する制度がありませんでした。「共働き・共育て」の推進や、子の出生・育児休業後の労働者の育児とキャリア形成の両立支援の観点から、柔軟な働き方として、時短勤務制度を選択できることを目指し創設されました。
■内容
2歳未満の子を養育するため、時短勤務を行っている場合に、時短勤務中に支払われた賃金額の10%支給されます。ただし、時短勤務後の賃金と給付額の合計が時短勤務前の賃金を超えないように給付率が調整されます。
■支給要件
・被保険者が2歳未満の子を養育するために短時間労働をしていて、時短勤務開始前の賃金に比べて減少した場合
・育児時短就業開始前の原則2年前にみなし被保険者期間が12ヶ月以上あったとき(時短勤務開始日を被保険者でなくなった日とみなして計算される被保険者期間に相当する期間)
■支給申請
原則:事業主経由とし、初回の支給申請の期限は、支給対象月の初日から4か月以内の申請となります。
例外:初回の支給申請までに「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書/所定労働時間開始時賃金証明書」を提出することとし、育児休業給付に係る育児休業終了後に引続き同一の子について育児時短就業を開始した時は「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書/所定労働時間開始時賃金証明書」は不要となります。
今回の改正で、厚生労働省が掲げている「共働き・共育て」。
「共育て」という耳慣れない言葉の意味を調べてみたところ、子どもが成長に必要なことを学ぶだけではなく、子どもと接しているお父さんやお母さんも一緒に学び成長するという意味とありました。子どもの成長は早く、あっという間に大きくなります。この時期の貴重な時間、育児休業を取得しても収入面含め安心して過ごせるよう支援体制のさらなる拡充が望まれます。
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