【社労士のコラム】残業時間の集計と残業代の適正な支払いについて
企業の経営において人件費は大きな負担となるため、残業代の支払いをできるだけ抑えようとする動きが一部で見られます。しかし、適正な労働時間の管理を怠ったり、不適切な運用を行うことは、法令違反に該当する可能性があり、企業の信用にも関わる重要な問題です。
残業時間を認めない問題
一部の企業では、残業時間の上限を厳しく定め、それを超える労働を認めない(通常、定めれた上限時間では行う業務量を指示していても)ようなケースがあります。こうした行為は、典型的な事例として厚生労働省が定める「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」においても問題視されており、昨今では、十分注意している経営者も多いのでないでしょうか。
〇分単位の残業代支払いルールの落とし穴
また、「当社では残業を〇分単位で管理しており、その単位でしか残業代を支払わない」といったルールを設けている企業も見られます。
例えば、次のようなケースです。
・所定労働時間:9時~18時(休憩1時間) ・残業時間の集計を15分単位で管理 ・18時から18時48分まで残業 ・18時から18時45分までの残業代しか支払わない(45分から48分までの3分を切り捨て) |
このように残業を〇分単位で指示すること自体は直ちに違法とは言えないでしょう。しかし、実際の業務では数分単位の誤差が生じることは避けられず、結果として残業時間が超過したにもかかわらず残業代が支払われない場合は、明確に労働基準法違反となります。

出所:厚生労働省リーフレット
適正な労務管理の重要性
このような不適切な運用は、単に法令違反となるだけでなく、従業員の不信感を増幅させ、企業の労働環境や組織の健全性にも悪影響を及ぼします。もし、現在の運用方法が適正であるか不安な点がある場合は、労務管理の専門家に相談し、必要に応じて見直しを行うことをおすすめします。
労働労働時間の適正な管理は、企業の持続的な成長と従業員の働きやすい環境を実現するための重要な要素です。この機会に、ぜひ自社の労務管理体制を確認してみてください。
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