【弁護士解説】~契約書確認のポイント-その③ リスクの幅について~<よつば総合法律事務所 弁護士 村岡つばさ>
よつば総合法律事務所の村岡です。
前回のコラムで、「契約書を確認・修正する上で弁護士が重視しているポイント」の全体像を解説しました。
重要な部分なので、ここから数回に分けて、詳細に説明します。
今回は、「自社の立場」についてです。
そもそも自社の立場とは?
売買契約であれば買主・売主、業務委託契約であれば委託者・受託者、請負契約であれば発注者・請負人・・・というように、契約当事者には「立場」があります。
なぜ自社の立場が重要なのか?
例えば、システム開発を他社に依頼する業務委託契約を締結する場合、発注者と受注者とでは、以下のように全く異なる目線を有しています。
(発注側の目線)
…受注者への責任追及の余地を広く残したい、成果物の権利を原始的に欲しい、仕事に納得できない場合には直ちに契約を解消したい(何ならお金も払いたくない)、追加費用が発生しても払いたくない。
(受注側の目線)
…責任を負う範囲・期間を狭くしたい、代金はしっかり払って欲しい、代金が払われるまでは成果物の権利をあげたくない、契約が途中で終わっても稼動分に応じて費用を清算して欲しい、追加費用が生じた場合には払って欲しい、発注者都合で契約を解約されると困る。
おわりに
これだけ目線が異なる以上、契約書を確認する際は、「自社の立場を踏まえて大きなリスクのある契約書になっていないか」という目線を持つことが不可欠です。
「ひな形」や「他社の契約書」を利用する場合、これらの契約書が、「どのような前提で、どの立場から」作成されたものかは分かりません。自社で用意している契約書が、実は自社に非常に不利な内容になっている可能性もあるため、現在利用している契約書に問題がないか、一度専門家に確認いただくことをお勧めします。
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