】働き方改革への対応と今後の展望<コンサルタント 鈴木大志>

気づけば、以前は24時間営業だった飲食店が、今では10時〜23時営業などに変わっているのをよく目にします。これも40年に一度の大改革と言われる「働き方改革」の影響が色濃く出ている現象のひとつでしょう。企業の皆さまも、対応に苦慮されていることと思いますが、自社ではいかがでしょうか。

今回は「働き方改革」について、今後の展望を含め、少し広い視点から考えてみたいと思います。

1.日本の働き方改革は「やりすぎ」?

「働き方改革」について、経営者の方からは「これでは仕事が回らない」「やりすぎだ」といった声を耳にすることがあります。
では、実際のところ、日本の働き方改革は過剰なのでしょうか?
視野を広げて世界に目を向けてみると、北欧・スウェーデンでは、労働者に年間25日の有給休暇取得が法律で保障されており、特に夏期(6~8月)には5週間連続で取得できる権利があります。
また、お隣のフィンランドでは、労働時間が4~6時間なら1回、6時間超なら2回、各15分の「コーヒー休憩」を取ることも法律で義務づけられており、両国とも時間内に仕事を終わらせることが当たり前となっています。

こうした状況と比較すると、日本の働き方改革は「やりすぎ」とは言えないかもしれません。

2.労働時間と生産性の関係性

「これだけ休まれたら、売上が立たない」と懸念される経営者の方もいらっしゃるでしょう。
しかし、日本はGDPで世界トップクラスに位置している一方で、人口規模に差があるため、1人あたりのGDPではスウェーデンに劣ります。
つまり、数字で見ると、スウェーデン人の方が、労働時間は短くても、より高い経済的価値を生み出しているということです。

OECDでは「長時間労働は生産性の向上にはつながらず、健康リスクや幸福度の低下を招く」と報告され、また、スタンフォード大学の研究では、一定の労働時間を超えると生産性が急激に落ちるという結果が公表されています。
さらに、WHOとILOの共同調査では「週55時間以上の労働は、脳卒中や心臓病などのリスクを大幅に高める」と結論づけています。

長時間労働に依存した経営は、もはや持続可能ではなく、事業そのものの存続が危ぶまれる時代になってきています。

3.働き方改革にどう向き合うか

少し厳しい言い方になるかもしれませんが、今後は「覚悟を決める」ことが求められます。
「理想論では食っていけない」という声も理解できますが、そうであれば営業時間短縮や労働時間の見直しといった取り組みは必要ないはずです。
しかし、実際には多くの企業がそうした対応を始めています。

ある有名TV通販会社では「スーパーリフレッシュ休暇」として、10営業日の特別休暇を設けています。公休日と組み合わせることで、最大16連休が可能になります。当然ながら、しっかりとした引き継ぎや業務の平準化が求められますが、この制度を導入したことで、従業員と会社双方が「どうすれば実現できるか」を真剣に考えるようになったそうです。

また別の企業では、管理職の評価項目に「部下の時間外労働時間」が組み込まれており、賞与などにも影響する仕組みが構築されています。これは、管理職が部下の労働時間をきちんと把握し、削減に取り組む動機づけにもなっています。

今後10年で、少子高齢化の影響はより一層深刻化し、人材の獲得競争も激化するでしょう。国による育児・介護支援の拡充も進む中で、企業が存続するには、「働き方改革」を見据えた「仕組み化」と「効率化」が鍵となります。

エフピオでは、勤怠管理システムの導入支援や、柔軟な社内制度の設計を通じて、企業の課題解決をサポートしております。ぜひお気軽にご相談ください。

この記事を書いている人 
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鈴木大志

コンサルタント

【略歴】千葉市生まれの茨城県は稲敷市育ち。獨協大学法学部卒業。
給与計算や社会保険手続きを担当。迅速かつ正確な対応を心掛けながら、顧問先ごとに最適なサポートを模索中。

前職の商社で鍛えた事務処理スキルを活かし、業務の効率化には自信あり。チームワークを大切にし、より良い提案ができるよう日々アップデート中。趣味はダイビング・料理・筋トレ。水中でもキッチンでもジムでも、探求心は尽きない。

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