社会保険労務士法人エフピオ(社労士事務所)

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傷病手当金について

1)傷病手当金とは

ビデオ:00:18

病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度です。
病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。
※任意継続被保険者の方は傷病手当金は支給されないのでご注意ください。

2)支給要件

ビデオ:00:44

  1. 業務外の事由による病気やけがの療養のための休業であること
    健康保険給付として受け入れる療養に限らず、自費で診療を受けた場合でも支給対象となります。(仕事に就くことができないことについての証明がある場合に限る)
    また、自宅療養期間についても支給対象となりますが、業務上通勤災害によるものや病気とみなされないものは支給対象外となります。

  2. 仕事に就くことができないこと
    仕事に就くことができない状態の判定は、療養担当者の意見をもとにお医者様の証明をいただくことが必要となります。被保険者の仕事内容等を考慮して判断されます。

  3. 連続する3日間を含む4日以上仕事に就けなかったこと
    業務外の事由による病気やケガの療養のため、仕事を休んだ日から連続して3日間の後、4日目以降、仕事に就けなかった日に対して支給されます。

  4. 休業した期間について給与の支払いがないこと
    業務外の事由による病気やケガで休業している期間について生活保障を行う制度のため、給与が支払われている間は傷病手当金は支給されません。ただし、給与の支払いがあっても傷病手当金の額より少ない場合は、その差額が支給されます。

3)支給期間の変更について

ビデオ:02:28

令和4年1月1日から傷病手当金の支給期間が変更となりました。
以前は支給期間開始日から起算して出勤し、給与支払があった期間を含めて1年6か月を超えない期間が対象となっておりました。
令和4年1月より療養に伴う休業期間を通算して1年6か月に変更されました。以前であれば出勤し給与を支払いがあった期間も含まれておりましたが、療養期間のみでの通算1年6か月となります。同一の傷病についても同様です。

※支給を開始した日が令和2年7月1日以前に申請された場合は、今まで通りの支給を開始した日から通算1年6か月になりますのでご注意ください。

4)支給される期間・計算方法

ビデオ:03:28

支給される期間

傷病手当金は病気やケガで休んだ期間のうち、最初の待機期間3日間を除き、4日目から支給されます。
待機3日間とは、会社を連続して休んだ3日間を指します。例えば、連続して2日間会社を休んだ後、3日目にお仕事に行かれた場合は、待機3日間は成立しませんのでご注意ください。

計算方法について

傷病手当金の1日当たりの支給額は、傷病手当金支給開始日にあたる月より以前の直近1年間(協会けんぽの被保険者期間において継続した12か月間)の各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1の3分の2に相当する額となり、以下の計算式で求められます。

直近1年間における標準報酬月額平均額の30分の1×3分の2×支給日数=支給総額

給与や手当が支払われている場合は、支給額から差し引かれます。
支給額以上の給与や手当が支払われている場合は、その間は不支給となります。
被保険者期間が1年に満たない場合は、資格取得後の平均額か協会けんぽの場合は全被保険者の平均額のいずれか低い額が基礎となります。

5)支給金額(1日当たりの計算方法)

ビデオ:04:51

以下に、1日当たりの計算例を挙げてみます。

① 傷病手当金の支給開始日
令和6年8月1日

② 標準報酬月額
令和5年9月~令和6年2月まで16万円
令和6年3月~令和6年8月まで18万円

③ ②の額を平均した額
(16万円×6か月+18万円×6か月)÷12=17万円

④ ③の額の30分の1に相当する額
17万円÷30=5,670円(10円未満切り捨て)

⑤ 傷病手当金の1日当たりの支給額
5,670円×3分の2=3,780円(1円未満四捨五入)

6)退職後の支給について

ビデオ:05:11

  • 退職日までに被保険者期間が継続して1年以上あること
    →健康保険組合の被保険者期間は協会けんぽの加入期間と1日も空くことがなく、連続していれば対象となる

  • 退職日の前日までに連続して3日以上出勤せず、退職日も出勤していないこと
    →退職日の前日に連続して3日以上出勤していない期間と退職日は、お医者様が労務不能と認めた期間であることが必要

  • 退職日に傷病手当金を受給していた傷病で引き続き労務不能であること 
    →退職日後の期間で全く関連のない傷病を申請しても、その傷病については傷病手当金の対象とはならないため注意

7)支給停止(支給調整)がかかる場合

ビデオ:06:00

  1. 給与の支払いがあった場合
    休んだ期間について給与の支払いがある場合、傷病手当金は支給されません。
    しかし、休んだ期間についての給与の支払いがあったとしても、その給与の日額が傷病手当金の日額より少ない場合、傷病手当金と給与の差額が支給されます。

  2. 障害厚生年金または障害手当金を受けている場合
    同一の傷病等による厚生年金保険の障害厚生年金又は障害手当金を受けている場合、傷病手当金は支給されません。
    ただし、障害厚生年金額の360分の1が傷病手当金の日額より少ない場合は、その差額が支給されます。
    また、障害手当金の場合、傷病手当金の額の合計額が障害手当金の額に達することとなる日までの間、傷病手当金は支給されません。

  3. 老齢退職年金を受けている場合
    資格喪失後に傷病手当金の継続給付を受けている方が老齢退職年金を受けている場合、傷病手当金は支給されません。
    ただし、老齢退職年金の額の360分の1が傷病手当金の日額より少ない場合は、その差額が支給されます。

  4. 労災保険から休業補償給付を受けていた(受けている)場合
    過去に労災保険から休業補償給付を受けていて、休業補償給付と同一の病気やけがのために労務不能になった場合は、傷病手当金は支給されません。
    また、業務外の理由による病気やけがのために労務不能となった場合でも、別の原因で労災保険から休業補償給付を受けている期間中は、傷病手当金は支給されません。
    ただし、休業補償給付の日額が傷病手当金の日額より少ないときは、その差額が支給されます。

  5. 出産手当金を同時に受けられるとき
    出産手当金が優先され、傷病手当金は原則支給されません。
    ただし、傷病手当金と出産手当金は出勤日単価が異なる場合があります。出産手当金の額が傷病手当金の額より少ない場合には、傷病手当金を請求することができ、出産手当金との差額が支給されます。

もっと詳しく聞きたい等、ご質問ご興味がございましたらご連絡をお待ちしております。

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