大規模地震発生時の企業における対応
令和6年8月8日、気象庁は、南海トラフ地震臨時情報を発表し、南海トラフ地震が想定される地域で、大規模地震の発生率が平常時に比べて相対的に高まっていると発表しました。
午後7時台の発表ということで、オフィスや帰宅中の公共交通機関の中で不安を感じたかたも多かったのではないでしょうか。
地震発生後の一斉帰宅の抑制
今年の7月に内閣府は「大規模地震の発生に伴う帰宅困難者等対策のガイドライン」を改正しました。
ガイドラインでは、緊急車両の通行の妨げの防止や帰宅困難者の安全を確保する観点から、災害発生後3日間は一斉帰宅を抑制すべきとしています。さらに今回の改正では、一斉帰宅抑制後の帰宅の行動指針について追加されました。
一斉帰宅抑制の期間、企業においては、従業員等を施設内に待機させ、安全を確保するとともに、正しい情報を提供し、冷静な行動を促すことが求められています。
そのためには、災害が発生してから対応するのではなく、平時からの備えが必要となってきます。平時と災害時の行動指針について、以下、ガイドラインからの抜粋です。
平時
・施設内待機の計画策定と従業員等への周知
・施設内待機のための備蓄。3日分の食糧や毛布などの備蓄に努める
・平時からの施設の安全の確保
・従業員等への安否確認手段、従業員等と家族との安否確認手段の確保
・帰宅時間が集中しないような地域・施設ごとの帰宅ルールの設定
・年1回以上の実働訓練や図上訓練等による定期的な手順の確認と改善
発災時
・従業員等の施設内待機
・安全が確保できず、施設内に待機できない場合は、従業員等を安全な施設へ誘導
一斉帰宅抑制後の帰宅行動指針
今回追加された「一斉帰宅抑制後の帰宅行動指針」では、人命救助に特に重要とされる72時間(3日間)が経過し、発災直後の混乱がある程度収拾しても、すぐに一斉に帰宅を開始せず、時間的・空間的に分散して帰宅することを基本としています。
帰宅経路のすべての区間において交通機関が再開されているか、混雑状況はどうなっているか、徒歩で帰宅する場合は、所持品が十分か、中継地点でのトイレの利用が可能かなども考慮したうえで、帰宅のタイミングを見極める必要があります。
企業は行政や関係機関から、判断に必要な情報を収集し、あらかじめ従業員に周知していた計画にもとづいて従業員を帰宅させることになります。
ガイドラインを参考に自社の防災対策を見直し、いざというときに冷静な判断ができるよう、準備をしておきましょう。
(内閣府:大規模地震の発生にともなう帰宅困難者等対策のガイドライン)
https://www.bousai.go.jp/jishin/kitakukonnan/pdf/kitakukonnan_guideline.pdf
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