令和6年11月1日 フリーランス・事業者間取引適正化等法が施行されました

 働き方の多様化が進み、フリーランスという働き方が普及しました。ニーズに応じて柔軟な働き方を選択できるような環境整備の必要性が高まる一方でフリーランスが取引先との関係で様々なトラブルを経験しているという実態があります。そこで、フリーランスに係る①取引の適正化と②就業環境の整備を図る目的でこのフリーランス・事業者間取引適正化等法(以下「フリーランス新法」という)が施行されることになりました。

フリーランス新法の適用対象

 適用対象となるのは発注事業者からフリーランスへの「業務委託」(事業所間取引)です。ここでいうフリーランスとは、「業務委託の相手方である事業者で、従業員を使用しないもの」をいい、発注事業者とは、「フリーランスに業務委託する事業者で、従業員を使用するもの」とされています。

https://www.mhlw.go.jp/content/001261528.pdf

法律の内容

 発注事業者の満たす要件によって義務項目は異なりますが、主な内容として発注事業者がフリーランスに対して下記義務項目を守る必要があります。

① 書面等による取引条件の明示
② 報酬支払期日の設定・期日内の支払
③ 7つの禁止行為(受領拒否、報酬の減額、返品、買いたたき、購入・利用強制、不当な経済上の利益の提供要請、不当な給付内容の変更・やり直し)※1か月以上の業務委託
④ 募集情報の的確表示
⑤ 育児介護等と業務の両立に対する配慮
⑥ ハラスメント対策に係る体制整備
⑦ 中途解除等の事前予告・理由開示

フリーランス(業務委託関係)といえるか

 フリーランス新法を守ることはもちろんなのですが、現在の取引の仕方が本当に業務委託といえるのかどうかにも気を配らなければなりません。いくら「業務委託」という契約の名称であったとしてもあくまで働き方の実態によって判断されることになります。実態として労働者だと判断される場合にはフリーランス新法は適用されず労働基準法等の労働法関係法令が適用されることとなります。

 このフリーランス新法施行に伴い、全国の労働基準監督署には「労働者性に疑義がある方の労働基準法等違反相談窓口」が設置されました。厚労省のHPでは、労働者性を確認できるチェックリストが用意されており、相談窓口ではこちらを用いたチェックや労働者性の判断基準についての説明をおこなうとしています。
 会社としてはフリーランスだと認識していた方が実は労働者だったということは大いにあり得ますし、このチェックリストによりフリーランスの方からの直接の問い合わせが多くなることや労働基準監督署の調査も厳しくなることが予想されます。

 フリーランスの方と取引のある会社はこれを機に今一度確認をしてみましょう。

https://www.mhlw.go.jp/content/11202000/001283001.pdf

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