勤務間インターバル11時間を軸に法規制の強化について検討へ 13日を超える連続勤務禁止も

 厚生労働省は12月12日、労働基準法改正に向けた専門家による研究会を開き、「議論のたたき台」を提示しました。

主な内容

・勤務間インターバル制度
終業から次の始業までに一定の休息時間を設ける「勤務間インターバル制度」では、休息を原則11時間とすることを軸に、抜本的な導入促進と、義務化を視野に入れつつ、法規制の強化について検討する必要があるとしました。
・13日を超える連続勤務の原則禁止
・副業の割増賃金の算定方法
副業の割増賃金を算定する際に本業と副業の労働時間を合算する現行制度の見直しにも言及しました。企業側の負担を減らし、副業を促すようにしています。
・フレックスタイム制の導入
テレワークに適用する「フレックスタイム制」の導入も盛り込んでいます。

勤務間インターバル

 現在、勤務間インターバルの導入は努力義務で、2023年1月時点で導入企業は約6%にとどまっています。休息時間を原則11時間としつつ、制度の適用除外とする職種等の設定や、実際に11 時間の勤務間インターバル時間が確保できなかった場合の代替措置等について、多くの企業が導入できるよう、より柔軟な対応を法令や各企業の労使で合意して決めることや、規制の適用に経過措置を設け、より多くの企業が導入しやすい形で制度を 開始するなど、段階的に実効性を高めていく形が望ましいとしました。

13日を超える連続勤務の原則禁止 

 休日制度では、労使協定や運用によって長期間の連続勤務も可能となっており、労災認定基準を参考に、「13 日を超える連続勤務をさせてはならない」旨の規定を労働基準法上に設けるべきであると考えられる一方、災害 復旧等の真にやむを得ない事情がある場合の例外措置や、顧客や従業員の 安全上やむを得ず必要な場合等に代替措置を設けて例外とする等の対応を労使の合意で可能とする措置についても検討すべきであるとしました。

副業の割増賃金の算定方法

 副業の割増賃金は、現在、本業先と副業先の労働時間をそれぞれ把握し、合算して算定しなければならず、制度も複雑で企業の負担が重いとされています。ただ労働時間合算は健康管理の目的もあり、研究会は合算の仕組みは残しつつ、割増賃金の算定には適用しない方向で検討しています。

テレワークに適用するフレックスタイム制の導入

 出社と在宅勤務を組み合わせて働く場合を想定し、在宅勤務に適用できるフレックスタイム制の検討も示しました。

まとめ

 これらの施策は、労働者の健康や働きやすさを向上させるとともに、企業の運営効率を高めることを目的としています。柔軟な働き方を可能にし、ワークライフバランスの向上や働き手の多様なニーズに応える仕組みを構築すると考えられます。これらを通じて、労働環境の改善を実現し、労働者が健康で持続可能なキャリアを築ける社会を目指すとともに、企業の競争力強化にも寄与する内容となっています。

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