公的年金は誰が支えているのか?仕組みと現役世代の負担増の理由

公的年金について、「今の年金受給者がもらえるのは、過去に納めた保険料の運用益によるものだから、現役世代の負担は関係ない」という声を最近耳にしました。
しかし、これは誤解です。

◆ 公的年金は「世代間の支え合い」で成り立っている

日本の公的年金(国民年金・厚生年金)は「賦課(ふか)方式」を採用しています。
これは、現在の現役世代が納めた保険料を、そのまま今の年金受給者に支払う仕組みです。
つまり、現役世代が年金財源を支えているというのは紛れもない事実です。

一方、「積立方式」という仕組みもあります。
これは、現役時代に納めた保険料を自分の年金として受け取る形で、
iDeCo(個人型確定拠出年金)や企業年金などに用いられています。

しかし、公的年金は積立方式ではなく、世代間で支え合う「賦課(ふか)方式」となっています。

◆ なぜ現役世代の負担が増えているのか?

近年、年金財政を巡る議論の中で、「現役世代の負担が重くなっている」という指摘が増えています。
その背景には、以下のような理由があります。

・少子高齢化の進行→ 現役世代の数が減り、年金を支える人数が少なくなっている。
・平均寿命の延び→ 受給期間が長くなり、年金の支給総額が増加。
・税金による補填の増加→ 保険料収入だけでは不足し、税金による補填が必要になっている。

これらの要因により、年金制度の持続可能性が課題となっています。

◆ まとめ

✅ 日本の公的年金は「賦課方式」を採用し、現役世代が納めた保険料が今の年金受給者に支払われている。
✅ 過去に納めた保険料が運用され、それが今の受給者に支払われているわけではない。
✅ 少子高齢化や長寿化の影響で、現役世代の負担が増加している。

◆ 最後に

今後も年金制度を持続可能にするための議論が続いていくでしょう。

最近放送されたニュース番組で、企業が給与明細に社会保険料の会社負担分を記載する取り組みが紹介されました。
目的は、従業員に企業がどれだけ社会保険料を負担しているかを知ってもらい、社会保険料に対する意識を高めてもらうことだそうです。

企業の人事労務担当者としても、年金制度の仕組みを理解し、従業員への説明やライフプラン設計の参考にしていただければと思います。

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