割増賃金の算定における在宅勤務手当の取り扱い

コロナ禍をきっかけとして在宅勤務が定着しましたが、自宅等で勤務する従業員に在宅勤務手当(リモートワーク手当)を支給している会社も多いと思います。ところでこの在宅勤務手当は、残業等の割増賃金の算定基礎に含まれるのでしょうか。

厚生労働省より、「割増賃金の算定におけるいわゆる在宅勤務手当の取り扱いについて」という通達が発出されています。

通達では、在宅勤務手当については原則として割増賃金の算定基礎に含むことになっているとしたうえで、企業が事業経営のために必要な経費を実費で弁償するものとして支給した場合には、当該手当は賃金に該当せず、したがって割増賃金の算定基礎から除外できるとしています。

実費弁償の考え方

当該手当が事業経営のために必要な実費弁償とみなされるためには、労働者が負担した費用のうち業務に使用された金額を特定する必要があります。また、その費用を精算するために支払われたものであることが、客観的に明らかでなければなりません。
したがって、就業規則等で手当の計算方法が明示されており、かつ、計算方法が勤務日数や時間数などを踏まえたうえで合理的なものである必要があります。

具体的な計算方法については、(1)以下のリンク内FAQ記載の計算方法のほか、(2)(1)の一部を簡略化した計算方法、(3)実費の一部を補足するものとして支給する額の単価をあらかじめ定める方法があります。
https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T240409K0011.pdf

不利益変更にあたる可能性

すでに在宅勤務手当を導入済みで割増賃金の算定基礎としている場合は、算定基礎から除外するにあたって注意が必要です。割増賃金の算定から、当該手当を除外することは労働者に支払われる割増賃金の減少につながります。労働条件の不利益変更に該当すると考えられるため、労使間でしっかりと協議を行うことが必要になります。

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