変動給(非固定的賃金)に関する社会保険の取り扱いについて

今回は、毎月支給される出来高給や割増賃金などの変動給(非固定的賃金)に関する社会保険の取り扱いについて取り上げます。

<基本的な取り扱い>
・非固定的ではありますが、毎月発生可能性がある賃金なので、社会保険算定の基礎となる報酬として取り扱われます。
・非固定的賃金のため、金額の変動は随時改定(月変)の判定要素にはなりません
・ただし、非固定的賃金の新設、計算方法の変更(算定式、単価、割増率等)、廃止が生じた場合は、随時改定(月変)を行う場合があります。

社会保険における非固定的賃金の基本的な取り扱いは以上となりますが、実際にどのような実務を行えばよいか、具体的にご説明します。

随時改定(月変)の要件①: 「固定的賃金の変動」月がいつか

結論をいいますと、当該変更(新設、変更、廃止)が生じた月を固定的賃金の変動月とみなして取り扱います。
 増率を変更したり、新たな変動手当を導入した場合、4月を変動月として、随時改定(月変)の判定を行います。
  ただし、4,5,6月のいずれかの月に当該変更(新設、変更、廃止)された手当が少しでも支給された場合のみが随時改定(月変)の対象となります。
  一方、4,5,6月のいずれの月にも、当該変更(新設、変更、廃止)された手当が支給されなかった場合は、固定的賃金の変動がなかったものとされます。
 この点、ルール変更後3か月の間に、変更された手当が「少しでも支給された人」と「全くされなかった人」で取り扱いを分けなければならない点に注意が必要となります。

随時改定(月変)の要件②: 「2等級以上変動」しているかを判断する金額

こちらは、通常の随時改定(月変)と同様で、固定的賃金の変動月とみなされた月から3か月間に支払われた、固定的賃金、非固定的賃金の合計額をもとに行われます。
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以上が、毎月支給されうる出来高給や割増賃金などの変動給(非固定的賃金)に関する社会保険の取り扱いに関する内容でした。
 随時改定(月変)はルールが複雑な点もあり、給与計算システムなどでシステマチックに管理されている会社様も多いかと思います。
 一方、今回取り上げた変動給(非固定的賃金)の変更(新設、変更、廃止)に伴う随時改定(月変)は、給与計算システム等では自動判定できないことがほとんどです。
 ルールの改定をご検討の際はくれぐれもご注意いただければと思います。

この記事を書いている人 
-Writer-

小山健二

特定社会保険労務士

【略歴】昭和51年生まれ、東京都出身。駒澤大学文学部社会学科卒業。 専門商社、人材サービス業を経て社会保険労務士法人で勤務し、令和4年にエフピオへ入社。

人事労務のみならず、経営企画、仕入、営業部門での多様な経験から、全体最適の視点で業務遂行を心がけています。事業会社、専門家双方でM&Aプロセス、DD実務経験がある。

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