年金事務所からの「社会保険調査のお知らせ」が来ました。これって?
■年金事務所の調査って
最近、お客様から「全国健康保険協会管掌健康保険及び厚生年金被保険者の資格及び報酬等の調査実施について」という表題の文書が届きましたという、ご連絡いただくことが増えてきました。
令和5年5月8日より新型コロナウィルス感染症が感染症法上の第5類感染症に位置づけられることになり、このコロナ禍の間に実施が見送られてきた調査(細々と実施されていましたが、かなり件数が限られていました)が本格的に実施されることになったことが原因です。
今までこの調査を受けられた方もいらっしゃるかもしれませんが、初見の方にとっては、「この調査は、健康保険法第198条第1項、厚生年金保険法第100条第1項に基づき行うものです。」なんて文面が入っていると、ドキッとしてしまいます。
■持参書類(提示書類)は?
年金事務所によって、調査の仕方が異なりますが概ね次のような書類が求められます。
1)調査票/年金事務所の所定のフォーム
2)労働者名簿
3)就業規則、賃金規程
4)源泉所得税領収書
5)賃金台帳
6)出勤簿またはタイムカード
■どんなことを調査されるのか
次のような事項が調査の対象となります。
1)社会保険の加入漏れがないか、加入手続きは適正か
●役員、社員、契約社員、パートタイマー、アルバイト、嘱託等の名称の如何にかかわらず、常時勤務する者については本人の意思にかかわりなく社会保険加入する必要があります。この加入のルールを逸脱して、加入手続きを取っていな者がいないかどうかの確認
●社会保険の加入日は入社年月日となりますが、「試用期間」の間は加入手続きを取らないというような間違った運用していないかの確認
●2つ以上の事業所から給与(報酬)を受けている場合(特に役員に多い)はそれぞれの事業所で加入手続きを取る必要(保険料額は合算して決定)があります。その手続きの漏れがないかどうかの確認
●75歳超で社会保険に加入できない者であっても、常時勤務する者は、受給する年金との調整のために届出の必要があります。この手続きの漏れがないかの確認
2)給与(報酬)の届出ならび手続きが適正に行われているか
●加入時の見込みの給与を適正に見積り、適正な標準報酬が設定されているかの確認
●定時決定のための手続き(算定基礎届)において、間違いなく給与(報酬)の届出をしているかの確認
●固定的賃金(※)の変更した場合に随時改定の手続き(月額変更届)を漏れなく行っているかの確認
※固定的賃金の変更には、基本給のみならず、手当額(転居に伴なう通勤手当の変更など)の変更、また身分の変更(パートから社員になったことによる給与の支払い方法の変更)があります。
●月例給与(報酬)ではない一時金(賞与)を支給した場合に賞与支払届の提出が必要ですが、漏れなくその手続きを行っているかの確認
※最近指摘の多い事例
介護事業所等における「処遇改善手当」、長期勤続に伴う「永年勤続報奨金」に対して賞与支払届を提出するようとの指摘がされています。(すべてが賞与支払届の提出の対象となるわけではありません)
■調査で指摘された場合
この調査で指摘された場合は、当然に指摘事項に対する是正が求められ、最大で過去2年間の遡りとなります。仮に社会保険加入の手続き漏れが指摘され、2年間遡って是正することになると、かなり大きな金額を是正に伴い追徴されることになります。以前は大目に見てもらっていた!などと主張してもそれは過去のこと。このような憂き目を見ないように、日頃の社会保険事務が適正に行われているかを定期的にチェックすべきでしょう。
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