】~休職対応の注意点-その③~<よつば総合法律事務所 弁護士 村岡つばさ>

今回は、休職期間中の注意点についてお話します。

休職期間を把握する

 まず大前提として、「休職期間の終了日がいつか」をしっかりと把握することが重要です。「しっかりと休職命令を出したものの、気付いたら休職終了日が過ぎていた」というケースもたまに見ます。自社の就業規則を確認し、休職期間を正確に把握しましょう。

毎月診断書を提出させる

 例えば、休職期間が2/1~4/30までの3ヶ月間とします。この場合、「2/1~4/30までの3ヶ月間、自宅療養が必要」との診断書ではなく、可能な限り、1ヶ月ごとの診断書を提出して貰ってください。治療経過・傷病の推移を確認しやすいからです。特にメンタルヘルス事案の場合には重要です。
 なお、診断書が提出されない場合には、「このままだと、休職が必要かを判断することができないため、休職を打ち切らざるを得ない」旨労働者に伝えて、診断書を速やかに提出してもらうのが良いと思います。

職場復帰の意向確認

 私は、残りの休職期間が2~3週間程度になった時点で、職場復帰の意向確認をすることを推奨しています。本人に休職期間満了日を再認識してもらうことに加え、休職期間満了日の直前に連絡が来ても、復帰場所の調整などに時間がかかることもあるからです。

陥りがちなミス-休職期間中の社会保険料等について

 休職期間中は、給与を支給しない会社が大半です。
 支給する給与がない以上、社会保険料(労働者負担分)などを天引きすることもできません。「労働者に社会保険料の請求をしないままズルズルと休職が伸び、気付いたらかなり多額の社会保険料を会社が立替払いしていた」というケースも良く目にします。1年以上、休職を与えていた事案で、50万円以上の立替金が発生していたこともありました。
 事後的にでも労働者から払って貰えれば良いのですが、金額が大きいこともあり、中々回収が難しいケースもあります。そのため、休職期間中は、必ず毎月社会保険料等の請求書を労働者に送り、タイムリーに支払ってもらうことが重要です。

この記事を書いている人 
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村岡つばさ

よつば総合法律事務所 企業法務部門責任者・弁護士

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【略歴】早稲田大学法学部・慶應義塾大学法科大学院卒業
千葉では珍しく「企業法務案件」のみを扱う弁護士。
会社側の労働案件が専門分野。
社労士会、税理士会、弁護士会等各種団体で研修・セミナー講師を多数担当。
税理士法人レガシィより
「これだけやっておけば良い!パワハラ防止法対策」
「使用者側目線 労災対応ノウハウ」セミナー発売中

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