【雑記】【ゲームばっかり!早く寝なさい!子供にだったら注意できるけれど、従業員に対して言えますか?(自己保健義務に思うこと)<社会保険労務士 津田千尋>】
朝早起きして友人とオンラインゲーム、小学校から帰って来てもゲーム三昧。「ご飯だよ!」と声を掛けても、「ちょっと待って、いいところだから。」
はい。何を隠そう、筆者津田の毎夜自宅での会話です。
毎日のように、オンラインゲームを頑張る息子君。こんなに熱心に勉強してくれればいいのになぁ、と思いつつ、学業についてはどうもお熱が入らない様子。
さて、これが、息子でなく、従業員であったらどうなのか。
学業でなく、仕事であったらどうなのか、と、世の会社での光景に、想いを馳せてしまう、自宅でのひとコマです。(家でも社労士モードなんですね、というツッコミは置いておきましょう!)
はい。従業員だったら、どうします?「プライベートだから、言えない(言わない)」ですか?
たしかに、ハラスメントの一類型に、「個の侵害」があり、過度なプライベートへの介入(立ち入り)は、パワハラになるよ、と指導される今日この頃、
言っていいのかな(注意していいのかな)、と二の足を踏んでしまうこともあるかもしれません。
オンラインゲームしていても、プライベートをコントロールしていて、
きちんと朝の始業に間に合い、業務においてもしっかり集中していれば、特段注意の必要もないでしょう。
ただ、とても眠そう。「昨夜もオンラインゲームをやっていて、寝不足だ、集中できない。眠い。。。」、と従業員本人が言っていたら・・・。
業務に支障が出る、出る可能性がある、と判断できる場合には、毅然と、注意をしましょう。
新入社員研修において、お話する、権利と義務のお話を少しここでもお話します。
労働者と使用者との間には、労働者から使用者に労働の提供の義務があり、使用者から労働者へ賃金の支払の義務があります。働く人と雇う人との間の権利と義務ですね。
そして、この労働の提供については、会社に来ていればいいのか(出勤していればいいのか)といえば、そうではなく、
具体的には、仕事の後に、オンラインゲームを(オンラインでなくとも構いませんが)夜中に行っていることで、
・朝起きることができない
・電車に乗り遅れる
・遅刻する
・仕事中に居眠りする
となれば、労働契約で定められた、債務の本旨に従った労務提供をしているとはいえないと言われても仕方がない状況です。
仕事において車(車両)の運転業務が発生したり、高所での作業が発生したりする場合は、
体調不良の状態を見かけているのにも関わらず、仕事に就かせてしまうと、安全配慮義務違反を問われかねない状況にもなってしまいます。
最近は、上記のように、プライベートに干渉してはいけない、と、過度な介入を避ける傾向が強いです。
むしろ会社も、プライベートに関わらないように指導している傾向があります。
ただし、今回のケースのように、業務にさしつかえるレベルでのプライベートの場合は、きちんと、
「仕事目線で」注意、指導ができるような上司、会社環境であってほしいな、と強く願います。
安全配慮義務と並んで、自分の健康を自分で守る、自分の健康を仕事ができる状態に維持する、という「自己保健義務」について、
最近話題にすることが多く、このようなケースを取り上げてみました。
休職のお問い合わせ、メンタル疾患のお問い合わせ、就業規則や服務規程の策定、労務トラブルの相談で、とてもよく頭に浮かぶ言葉が、この自己保健義務です。
会社側の「安全配慮義務」のことですか?と質問されることも多いのですが、違います。
「安全配慮義務」は、平成20年3月に施行された労働契約法の第5条に記載されている、
「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」という条文です。
使用者側に対して定められている、安全を確保(配慮)して、業務においての事故や病気が発生しないようにしなければならない、というものです。
これに対して、「自己保健義務」とは、「自己」が入っている労働者側に課せられている義務で、
いわば、自分の健康状態を自分自身で維持して、職場で仕事ができる状態の身体を維持すること、となります。
さきほどの、オンラインゲームのくだりも、この自己保健義務の言葉を借りて言えば、
労働者自身の健康管理に関して注意を払うべき、自分自身の義務を果たしていない、
寝不足の状態で、集中して仕事ができる状態を維持しないで、会社に出勤している
と表現することもできます。
なんでもかんでもハラスメントと言われてしまう時代です。会社の上司からすれば、言わずに済ますことができれば、
心穏やかな時間が訪れるのに・・・。大いなるため息が聞こえてきそうですが、「仕事目線で」「お互い怪我無く、安全に仕事をするために」
一声かけていきましょう!
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