【東京商工リサーチ掲載記事】外国人採用における在留資格の確認と実務上の注意点<社会保険労務士 小野田春奈>
最近、お客様から「外国人を初めて雇いたいけど、何に気をつければいいですか?」というご質問をいただくことが多くなりました。
外国人を雇用する際に最も重要で見落とされがちな点が「在留資格の確認」です。
これを誤ると、法的リスクを負う可能性があります。ここでは企業が採用時に押さえておくべき在留資格の基礎知識と実務上の注意点を解説します。
1.在留資格とは
日本に在留する外国人は、それぞれ「在留資格(ビザ)」によって活動内容が定められています。就労が認められるか否か、またどのような職種で働けるかは、この在留資格によって決まります。採用担当者がまず行うべきは、在留カードを確認し、「在留資格」と「在留期間」、「資格外活動許可」の有無をチェックすることです。
在留資格は大きく分けて以下の3つのグループに分類できます。
① 就労を目的とする在留資格
代表的なのが「技術・人文知識・国際業務」です。大学などで専門知識を学んだ外国人が、その知識を活かして専門的・技術的な職種に従事することを目的としています。たとえば、ITエンジニア、経理、貿易事務、通訳、デザイナーなどが該当します。学歴と職務内容の関連性が審査で重視されます。
その他、高度専門職、経営・管理など、特定の専門性や資格を必要とする在留資格もあります。
② 一定の業務に限定して就労が認められる在留資格
「特定技能」や「技能実習(2030年廃止予定)、育成就労(2027年度施行予定)」がこれにあたります。特定技能は、人手不足が深刻な分野(介護、外食、宿泊、建設、製造など)で、一定の技能と日本語能力を持つ外国人に就労を認める制度です。最長5年間の在留が可能で、熟練者は特定技能2号として長期就労・家族帯同も認められます。
一方、育成就労は技能実習制度を発展的に改め、外国人を労働者として適正に育成・活用する新制度です。転職の自由度が高まり、将来的には特定技能への移行がスムーズになると期待されています。
③ 就労が原則認められない在留資格
「留学」「家族滞在」などが該当します。これらは本来、学業や家族生活を目的とした資格のため、原則として就労はできません。ただし、資格外活動許可を受けることで、週28時間以内のアルバイトが認められます。採用時には、この許可の有無を必ず確認し、許可証の写しを保管しておくことが重要です。
2.採用時の確認と企業の法的責任
外国人を雇用する際、企業は入管法に基づき「在留資格の確認義務」を負います。
雇入れ時には必ず在留カードを提示してもらい、「資格」と「期限」を確認のうえ、コピーを保管しておきましょう。また、在留期限が切れないよう、定期的なモニタリングも必要です。
不法就労者を知らずに雇用した場合でも、「注意を怠った」と判断されれば、企業や担当者が不法就労助長罪(3年以下の懲役または300万円以下の罰金)に問われる可能性があります。派遣・請負契約の場合も、実際に指揮命令を行う立場であれば同様の責任を問われます。
3.安定的な受け入れのために
外国人材の活用を成功させるためには、在留資格の確認だけでなく、雇用契約や労働条件通知書の整備、社会保険加入、生活支援などの体制づくりが欠かせません。特に特定技能や技能実習では、受入企業に日本語教育・生活支援の義務が課される方向にあります。
また、就労内容が在留資格の範囲から外れると更新が認められなくなるため、実際の業務内容と資格内容の整合性を常に確認しておくことが大切です。
4.まとめ
外国人採用は手続きや管理が複雑で法的リスクも伴いますが、在留資格制度を正しく理解し、適切な体制を整えれば、企業にとって大きな成長機会となります。
多様な背景を持つ人材の受け入れは、職場の活性化や生産性向上、新しい発想の創出につながります。また、労務管理の見直しを通じて労働環境の改善や人材定着にも寄与します。外国人雇用を単なる人手不足対策ではなく、企業の成長を支える戦略的な取り組みとして位置づけ、採用前の確認と採用後の継続的支援を行うことが重要です。
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