【産業医解説】~「事例性」と「疾病性」、産業医の役割を正しく知る~<産業医 工藤知紀>
新年あけましておめでとうございます!
千葉くどう産業医事務所株式会社の工藤です。
年明けは、欠勤や遅刻が増えたり、体調不良の訴えや業務パフォーマンスの低下が目立ったりと、社員の「変化」や「困りごと」が一気に表に出やすい時期です。
こうした場面で、改めて整理しておきたいのが 事例性と疾病性、そして産業医の役割 です。
事例性とは「職場で現に起きている困りごと」
事例性とは、病気の有無にかかわらず、勤怠不良や人間関係のこじれ、業務パフォーマンスの著しい低下など、職場として何らかの対応を考えなければならない困りごとが顕在化している状態を指します。
具体的には、欠勤・遅刻・早退の増加といった勤怠不良、上司や同僚とのトラブルや孤立などの人間関係の問題、ミスの増加や判断力低下による業務パフォーマンスの低下などが挙げられます。
これらはすべて、診断名の有無に関係なく「事例性がある状態」です。
疾病性とは「病気そのもの」の問題
一方で、疾病性とは、病気の存在や病態そのものを指す純粋に医学的な概念です。
診断名があるか、医学的に説明できる病態があるか、治療や医学的管理が必要かどうかといった点は、主治医が判断し、診断・治療を行う領域になります。
重要なのは、疾病性があっても働ける人はいる一方で、疾病性がなくても事例性は生じ得るという点です。
産業医は診断や治療を行う立場ではありません
産業医は医師ではありますが、会社の中で診断や治療を行う立場ではありません。
産業医が担うのは、事例性(職場の困りごと)を起点に、その背景として疾病性がどの程度関与しているのかを整理し、医療で対応すべき部分と職場で調整すべき部分を切り分けたうえで、現実的な解決につなげていくことです。
・事例性:勤怠不良、人間関係のこじれ、業務パフォーマンス低下など、職場の困りごと
・疾病性:病気そのものの問題であり、診断・治療は主治医の役割
・産業医:事例性を起点に、疾病性との関係を整理し、職場での解決につなぐ役割
新しい年のスタートに、改めてこの整理を共有し、より実効性のある産業保健につなげていきましょう。
本年もどうぞよろしくお願いいたします!
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