2023.02.13|
社労士のコラム
降雪・積雪による交通遮断の場合の労務管理について<社会保険労務士 小山健二>
2月に入り寒さが厳しい季節となり、降雪・積雪への対応が一層求められる地域もあるのではないでしょうか。社会保険労務士の立場として、降雪・積雪による勤務の可否、休業の判断について解説したいと思います。
まず労働基準法上のルールとして、使用者の責めに帰すべき事由により休業させる場合は休業手当の支払いが必要となります。
| (休業手当) 第二十六条 使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。 |
ただし、「不可抗力」により休業する場合は使用者の責に帰すべき事由に該当しないと解されていますので、不可抗力による休業の場合は休業手当の支払いは必要ありません。
不可抗力とは、以下の2つの要件が必要となります。
①事業の外部より発生した事故であること
②事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であること
では、具体的に起こりえるケースを想定して対応を整理したいと思います。
①全面的な交通遮断の場合
朝から交通機関が機能せず、誰も出勤が出来ない場合、会社は休業手当の支払いは不要となります。 遅刻となった場合も同様で、勤務していない時間は休業手当の支払い義務はありません。
②一部の路線が遮断していて、通勤可能者と不可能者がいる場合
そのような状況になると、会社が全社的に休業することを判断する場合があります。その場合の取扱いは、通勤が不可能な者と可能な者でそれぞれ対応が異なります。
通勤不可能者 … 休業手当の支払い不要(不可抗力のため)
通勤可能者 … 休業手当の支払い必要となる可能性が極めて高い
※通勤可能者が圧倒的少数で、通勤可能者だけでは事業が行われないような状況であれば不可抗力と認められる場合もあります
一方、会社が全社的には休業とせずに、通勤可能者であっても自己判断で休業を許可する場合については、休業手当の支払いは不要となります。会社は働く機会は提供しているため、従業員が就業を選択できるわけですので、ノーワーク・ノーペイの原則に従って休業手当も含め支払い義務を負いません。実務上はこのような対応をとるケースが多いように感じています。
③交通遮断のおそれ、通勤途中の災害のおそれがあるため休業とする場合
この場合、全従業員が通勤可能であるのに会社が休業を判断したことになるので、休業手当の支払いが必要となります。ただし、②の後段のケースと同様に自己判断で休業を許可する場合は、休業手当の支払い不要となります。
天気予報により早帰りを検討する際もこのケースに該当する場合が多く、よほど不可抗力となる理由が別にない限りは休業手当の支給対象となるので注意が必要となります。ただし早帰りの場合は、当該労働日の既往の労働に対する賃金が休業手当額を上回る場合は支給が不要となります。
実務上は、早帰りを推奨し、かつ終日出勤したものとして賃金計算する企業様が多いと感じています。
降雪・積雪等の中通勤する場合は、慣れていないと思わぬ怪我をすることも多々あります。従業員の安全に配慮しつつ事業を円滑に運営することはバランスが難しい判断ではありますが、長い目で見れば従業員様、会社、双方にとって良い結果につながるかと思いますので、いざというときに備えてご準備いただければ幸いです。