2025.08.01|
弁護士解説
~契約書確認のポイント-その④ リスクの幅について~<よつば総合法律事務所 弁護士 村岡つばさ>
よつば総合法律事務所の村岡です。
「契約書を確認・修正する上で弁護士が重視しているポイント」につき、前回は「自社の立場」が重要というお話をしました。
今回は、契約当事者のパワーバランスについて解説します。
契約交渉の場面では、「パワーバランス」や「関係性」が非常に重要です。
これを見誤ると、契約失注のリスクすらあります。
例えば、自社が従業員規模20名程度の中小企業、取引の相手方が上場企業であったとします。この場合に、「対等な契約交渉」を行うことは通常困難です。
にもかかわらず、「自社に有利過ぎる契約書を先方に提示」したり、「先方の提示した契約書を、自社に有利になるように大幅に修正」すると、契約自体が白紙になってしまうことがあります。
私が経験した案件でも、このようなことがありました。
依頼者はかなり大きい企業です。ある会社(A社)から営業を受けて、新規取引を検討することとなりました。
A社から契約書案が送られてきましたが、あまりにもA社側に有利な内容であったため、私の方で細かく修正依頼を行いました。そうしたところA社側より、「どの会社もこの契約書で進めて貰っている」「ひな形なので修正はできない」「そこまで細かく修正する必要もないと考えている」との回答が届きました。
依頼者は結局、A社との取引を見送りました。「そもそも、営業を受けて取引を検討しただけで、A社との契約はマストではない。うちの方が圧倒的に大きい企業なのに、契約交渉で譲る姿勢すら見せないのは、とても失礼ではないか。法務面の意識の薄さも懸念されるので、契約自体にリスクがあると考えた。」とのことでした。
なお、企業規模が小さくても、「その企業と取引をする必要性が高い」場合には、自社に有利に契約交渉を進めることが可能だったりもします(面白いところです)。特殊な技術を有していたり、ブランド力があったり、取引の依存性が高い場合などが挙げられます。