労働法とは少し離れてしまいますが、11月1日から、通勤等に利用することが多い、自転車に関係して、道路交通法が改正されます。自「転」車運転中の携帯電話(スマホ)使用等に起因する交通事故が増加傾向であること及び自転車を酒気帯び状態で運転した際の交通事故が死亡・重傷事故となる場合が高いことから、今回の罰則規定が整備された、というのが法改正の背景にあります。

1.携帯電話等使用等の保持に関する罰則について

 6ヶ月以下の懲役又は10万円以下の罰金(道路交通法第118条第1項第4号)
・携帯電話等(スマートフォンなど)を手に持ち通話のために使用しながら自転車を運転した場合
・携帯電話等(スマートフォンなど)の画面に表示された画像を手で保持して注視しながら自転車を運転した場合

 これらに違反した場合には、上記の6か月以下の懲役または、10万円以下の罰金となります。

2.携帯電話等使用等の交通の危険に関する罰則について

 1年以下の懲役又は30万円以下の罰金(道路交通法第117条の4第1項第2号)
・携帯電話等(スマートフォンなど)を使用又は画像を注視しながら自転車を運転して、事故などの交通の危険を生じさせた場合
 これに違反した場合には、上記の1年以下の懲役または、30万円以下の罰金となります。

3.酒気帯び運転および幇助

 前述1.2の自転車の酒気帯び運転のほか、酒類の提供や同乗・自転車の提供に対して新たに罰則が整備されました。
違反者に対しては:3年以下の懲役または50万円以下の罰金
自転車の提供者に対しては:3年以下の懲役または50万円以下の罰金
酒類の提供者・同乗者に対しては:2年以下の懲役または30万円以下の罰金

≪参考≫
 道路交通法第71条第5号の5
自動車、原動機付自転車又は自転車(以下この号において「自動車等」という。)を運転する場合においては、当該自動車等が停止しているときを除き、携帯電話用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置を通話のために使用し、又は当該自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置に表示された画像を注視しないこと。

≪参考≫
 道路交通法第65条第1項(酒気帯び運転等の禁止)
道路交通法第65条第1項の規定に違反して車両等(自転車以外の軽車両を除く。)を運転した者で、その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあったもの。

4.法改正を踏まえて、労務管理上のポイント

 自転車運転中に、急な電話連絡(入電)が発生し、応答した場合や、移動中にスマホの画面で地図を表示しながら自転車の運転をした等の行為が考えられます。この場合においては、前述の1.で触れたとおり、事故発生に該当していなくとも、違反行為となります。停止中の操作は、対象外とされていることから、携帯電話(スマホ)の操作をする際は、きちんと停止すること、を徹底することが大切です。
 また、車両(車)の運転と同様に、3.で触れましたとおり、酒気帯び運転についても罰則の適用となりました。これにより、自転車を運転する可能性がある人に、自転車を提供することや、酒類の提供・飲酒を進めることなどが、禁止行為となりました。
 今後、年末にむけて、業務後の飲酒のケースも増えてくることも考えられます。
 いまいちど、従業員の方の、自転車利用による通勤の現状確認とともに、該当者には重点的に法改正内容の周知徹底をお願いします。自転車を普段運転しない従業員に対しても、今回の法改正の内容の周知とともに、飲酒が発生する際に、自転車利用者に対する飲酒の提供等にあたらないように、十分な配慮を行うように、いまいちど周知をお願いします。
 最後にあわせて、自転車損害賠償責任保険等への加入促進についてお伝えします。令和6年4月1日現在、国土交通省の調べによると、34都府県において、条例により自転車損害賠償責任保険等への加入を義務化、10道県において努力義務化する条例が制定されています(Fig.1_地方公共団体の条例の制定状況)。自転車事故においては、1億円近くの高額賠償事例も発生していますので、自転車を通勤に利用する従業員様の加入している保険について、補償内容や支払限度額についても、あわせて確認をお願いします。