前回は、被害を申告してきた労働者へのヒアリング・初動対応の注意点についてお話しましたが、今回は、加害者とされる人物や第三者にヒアリングを行う際の注意点につき見ていきます。

■加害者とされる人物へのヒアリング

被害申告者へのヒアリングと重複する部分はありますが、以下の①~⑤が特に大事です。

①他の従業員との口裏合わせ等が極力できない体制を取る

ヒアリングのタイミング、順番等の工夫が必要です。

②被害者の主張や証拠に引っ張られ過ぎない

前回お話した「決めつけ」に近いお話です。フラットな目線で聞きましょう。

③加害者とされる人物側にも証拠提出を促す

被害申告者側より証拠提出があったとしても、その証拠が本当に信用できるものかは分かりません(LINE、メール、録音等は一部のみが切り取られている可能性もあります)。

④具体的処分(懲戒処分等)の話は極力しない

処分は、調査→事実認定→評価が終わった時点で考える事です。
この段階で処分の話をすると、十分に事実が引き出せなくなる可能性や、「処分ありき」で調査が行われたと疑われかねません。

⑤被害申告者に報復等を行わないように伝え、ヒアリング後も注視する

ヒアリング・調査により加害申告者が逆上し、被害申告者に報復が行われ、被害が拡大することは絶対に避けなければなりません。

■第三者へのヒアリング

①被害申告者・加害者とされる人物との関係性を意識する、②必要な範囲でのみ事実を開示し、ヒアリングを行っていることを含めて秘密厳守をお願いする、③第三者からの調査意向等を確認する、といった点が特に重要です。

特に①については、供述内容の信用性を大きく左右します。あまりにも被害申告者寄りの供述をしており、内容も不自然、他の第三者の供述とも大きく異なっているという状況で、不審に思って関係性を探ったところ、被害申告者と当該第三者が交際関係(不貞関係)にあることが判明した、というケースも過去にありました。