先日、税理士法人レガシィより、私が講師を務めたセミナー「使用者側目線 労災対応ノウハウ」が発売されました。

このコラムでも、今回から複数回に亘り、労災対応時の注意点等をお話させていただきます。

初回は、労災事故が発生した際に会社が負う可能性のある責任・リスクについてです。

以下に箇条書きでまとめてみました。

①行政上の責任

・労働安全衛生法違反・労基法等を理由に、労働基準監督署より是正勧告を受ける可能性がある。

・建設業、運送業等、許認可が絡む業種では、営業停止・許可取消等の行政処分を受ける可能性がある。

②刑事上の責任

・重大事故や違反の程度が大きい場合には、労働安全衛生法違反を理由に送検され、違反行為をした個人(現場責任者等)+法人が刑事罰を受ける可能性がある(両罰規定)。

・業務上過失致死傷罪(刑法211条)が成立する可能性もある。

③民事上の責任

・安全配慮義務違反(債務不履行・不法行為)や使用者責任を理由に、被災労働者や遺族から高額な損害賠償を請求される可能性がある。

④レピュテーションリスク

・送検時の企業名公表や、SNSでの拡散等により、「ブラック企業」としてのレッテルが貼られ、企業価値が毀損される可能性がある。

③に関して、「労災保険で補償されるのでは?」という疑問があるかもしれませんが、労災保険では慰謝料は一切支払われず、休業補償や逸失利益(後遺障害・死亡)に関しては一部しか補償されません。

重篤な後遺障害が残ってしまった事案や、労働者が死亡してしまったような事案では、数千万円~億を超える賠償責任が会社に発生することもあります。

例えば、有名な「電通事件」では、長時間労働によりうつ病を発症した労働者が自殺してしまったという事案ですが、労災保険から支払われた金額とは別に、企業が1億7000万円弱を支払う内容での和解が成立しています。

このような賠償リスクに備え、私は、労災上乗せ保険への加入(雇用慣行賠償責任保険等)をお勧めしています。