【東京商工リサーチ掲載記事】2035年に向けた働き方について~これからの時代を創り出すのはわたしたち わたしたちがもっと前を向いて、積極的に社会に関わろう~<社会保険労務士浅山雅人>
先日、とある会合で「2035年向けた働き方について」というテーマをいただき、経営者の皆様向けにお話をさせていただきました。
現状、VUCAと言われるように、これまでの延長線上やかつての勝利の方程式が通用しない、「変動性」「不確実性」「複雑性」「曖昧性」で表せられる時代のなか、10年以上先の話しをすることは今まさにある課題解決の実務家としては、かなり無理があるテーマでした。
とは言え、頂戴したテーマ、私なりに考えをお話しさせていただきました。
本誌面でまずはわたしたちが共有すべき基本的なことを記したいと思います。
●2035年に予想される課題
1)介護 介護職員の人員不足
2)医療 医療体制における課題
3)年金 年金制度の崩壊リスク
4)経済 労働力不足(生産年齢人口の減少)
また、2020年日本の1人あたりの名目GDPはOECD加盟38か国中19位で、日本経済研究センターによれば、2027年に韓国、2028年には台湾を下回ることが予測されています。これは、人口の高年齢化に加え、デジタル化の遅れによる労働生産性伸びの弱さが原因とされています。
これら課題はビジネスパーソンであれば誰しも持っている認識ですが、これもって評論家気取りに、「もう日本の将来はない」と言い放っている方が大勢います。
が、そんなことで良いのでしょうか?
●これからの未来、これからの社会は、私たちのそれぞれ発する言葉から変わる(変わるに違いない!)
課題満載な、このようの状況を創り出したのは、国会議員や役人の責任だと糾弾する、おめでたい人は、もうご免。
これからの将来を創るのは、わたしたち一人ひとり。
前向きに、そして積極的に社会にかかわろう。
まずは今の役割(環境)のなかで、何ができるかを考え、そして未来のある子供に、プラスの言葉を投げかけよう。ワクワクする未来をイメージしよう。
●働き方の未来2035 一人ひとりが輝くために
「働き方の未来2035 一人ひとりが輝くために」懇談会の報告書より一部抜粋
1)時間や空間にしばられない働き方に
同じ空間で同時刻に共同作業をする時代から時間や空間にしばられない働き方が当たり前の時代 …「時間」から「成果」による評価
2)より充実感がもてる働き方
自分の得意なことが発揮でき、生き生きとして活動ができる、どんな人でも活躍の場がある。
…自立した個人が自律的に「働く」社会に
3)自由な働き方の増加が企業組織も変える
プロジェクトベースで、柔軟に企業の内外を移動する。企業組織が人を抱え込む「正社員」のスタイルは変化。
…「正規」「非正規」という区分に意味がなくなる
4)働き人が働くスタイルを選択する
企業がプロジェクト型の組織になるにつれ、働く側も自分の希望とニーズに応じて、自分の働くプロジェクトを選択する
…従業員と個人事業主との境があいまいに
5)働く人と企業との関係
企業規模が大きいのみでは働くニーズを満たすことはできず、働く側にどれだけのチャンスや自己実現の場を与えられるかが問われる。
…経営者は企業規模の拡大よりも、企業の個性に磨き魅力を高める必要性
6)働き方の変化がコミュニティのあり方を変える
企業の帰属意識は薄れ、同じ職種や専門領域で働いているという共通意識の方が強くなり、SNSなどで疑似コニュニティを作っていく
7)世界と直接つながる地方の新しい姿
働く場所に制約がなくなると、子育て・仕事・介護・趣味などのバランスを取りながら豊かな人生を送ることが可能となる
…地方の価値を海外に向けて提供でき、ローカルといえども、グローバルにつながれる
8)介護や子育てが制約にならない社会
自動化・ロボット化や高品質な介護・子育て・家事などのアウトソーシングの登場により、介護と子育てが働くことの制約にならない社会に
…自然豊かな環境で職住近接かつ保育や介護にも近接した働き方が可能に
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