】とある社労士事務所の働き方改革

 前回の2667号(2019.02.12)にて、弊所所長の浅山より年次有給休暇の5日間取得義務化についての記事を寄稿させていただきました。これを踏まえて、今回は、当事務所およびお客様の実際の取り組み事例についてご紹介したいと思います。

 法律の改正に伴い、経営者の方はとても頭の痛い問題の一つの年次有給休暇の取得について、少しでもご参考になれば幸いです。さて、弊所の職員の構成としましては、全13名の職員のうち、正社員が8名と半数以上を占めております。前回お伝えしましたとおり、管理監督者、パートタイマーも含めて年10日以上の年次有給休暇を付与される労働者が対象となります。

 まずは、社労士事務所の繁忙期を知ることからはじめました。どの時期であれば、年次有給休暇を取得する(させる)余地があるか、ということを確認する作業です。社労士事務所は、5月から7月にかけて繁忙期となります。ですので、できれば年次有給休暇を取得するのであれば、この時期は避けてほしいというのが正直なところです。

 また、前回お伝えしました、個別指定方式と計画年休制度の導入という2つの対策のうち、どちらを選択するかどうかの検討をしました。対象となる職員の有給取得日数を確認したうえで個別指定方式を導入するのか、労使協定を結んだうえで一斉付与とするのかの検討です。浅山事務所での選択は、個別付与方式です。とはいっても、もともと有給取得が盛んな事務所だったわけではありません。風邪や病気や身内の不幸があった際など、一般企業によくみられるような年次有給化を取得して休むケースに取得されていたにすぎません。

 具体的には、有給取得奨励月というのがよいでしょうか、1月に1日、2月に1日、3月に1日、8月に2日、合計5日間、まずはそれぞれ期間内に自由に年次有給休暇を取得することとしました。職員同士でお互いの仕事内容を調整したうえで、年次有給休暇の申請を行い、1か月の中で1日ずつ(8月は2日)消化していく方法です。この記事が掲載される予定の3月も1日消化の予定月ですから、各職員が有給申請を行って、順次年次有給休暇を消化していきます。該当月の中旬を過ぎてもなお、申請が挙がってこないと、浅山自ら、年次有給化の取得状況の確認のため、本人の近くに現れます。自主的に取得申請を行わない職員はまだ発生していませんが、取得申請を行わない場合には、当月内のどこかで付与日が指定されることになります。これが個別付与方式です。ここまで見てきた通り、とても地味な取り組みです。浅山事務所は1つの事業所しかないので、所長が職員と顔を合わせる機会が多く、少人数なので取り組める方法です。

 お客様によっては、事業所の数も複数、従業員数も多く、一人ひとりの従業員と直接会える機会もない場合がほとんどです。こういった場合はやはり、一斉付与の方法を選択されることが多いです。本年の4月からの法改正にあわせて、一斉付与という制度そのものを新たに導入して5日間すべてを一斉付与の対象とした事業所もあります。現在までの年次有給休暇の取得状況を事前に把握したうえで、従業員の大部分が3日の取得されている状態であれば、残りの2日間のみ一斉付与として対応した、という事業所もあります。ただし、一斉付与と個別の取得で年5日を超えるように管理することが大切です。

 ここまでご紹介したとおり、各事業所で手探りの状態で、「今年は」この方法で、と取り組んでいるのが現状です。将来にわたって「毎年」一斉付与で対応する、と決めたわけでもありません。今後の有給取得率を確認しながら、随時検討を加えて最適な答えをみつけようと手探りで進んでいるのが現状です。皆様の会社でも、「未来永劫●●の方式で」と固く考えず、まずは「今年は●●の方式でやってみよう」「様子を見ながら変更していこう」と一歩踏み出してみてください。

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