2022.01.11|
東京商工リサーチ掲載記事
「雇用保険」と「健康保険」における取り扱い<社会保険労務士 浅山雅人>
新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
今回のコラムでは2022年1月より改正になりました、「雇用保険」と「健康保険」における取り扱いを取り上げさせていただきます。 65歳以上の従業員を雇用されている会社あるいは私傷病で欠勤されている従業員を雇用されている会社に影響する内容となっていますので、ぜひご覧ください。
◆雇用保険マルチジョブホルダー制度
従来の雇用保険制度は、主たる勤務先での労働条件が1週間の所定労働時間20時間以上かつ31日以上の雇用見込み等の適用要件を満たす場合に適用されます。
これに対して、雇用保険マルチジョブホルダー制度は、複数の会社で勤務する65歳以上の労働者が、そのうち2つの会社での勤務を合計して以下の要件を満たす場合に、本人からハローワークに申出を行うことで、申出を行った日から特例的に雇用保険の加入者(マルチ高年齢被保険者)となることができる制度です。
<現行ルール>
以下のいずれの基準も満たした者が、雇用保険の加入者となる。
①1週間の所定労働時間が20時間以上であること
②31日以上引き続き雇用されることが見込まれること
この基準は、1つの会社毎で判断します。
よって、副業をしている方で「本業先の所定労働時間15時間」「副業先の所定労働時間15時間」の場合、合計すると30時間とはなりますが、本業・副業先共に雇用保険の加入者とはなりません。
<改正後ルール>
以下のすべての基準も満たした者が、加入者となります。
①1つの会社における1週間の所定労働時間が20時間未満であること
②2つ以上の雇用保険加入の会社に雇用される65歳以上の者であること
③2つの雇用保険加入の会社における1週間の所定労働時間の合計が20時間以上であること
よって改正後は、65歳以上の副業をしている方で「本業先の所定労働時間15時間」「副業先の所定労働時間15時間」の場合、合計すると30時間となり、雇用保険の加入者となることが可能になります。ここで重要なのは、あくまでも従業員の申し出により適用されるものであり、従業員の意思に関係なく機械的に雇用保険の加入とするわけではありません。
◆傷病手当金制度の見直し
傷病手当金とは、業務外で病気やけがで働けなくなってしまった場合、健康保険から1日あたり、直近12か月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の2/3に相当する金額がもらえる制度です。給与の約2/3分を保障してくれる給付金です。
<現行ルール>
傷病手当金は、今日では支給開始日より起算して1年6ヶ月を限度として支給されています。しかし、この1年6か月という期間には復職した期間も含まれるため、復職後、同一の傷病が再発しても、支給開始日から1年6か月が経過していると傷病手当金は受給できません。このことから、休業期間中に十分な保障を受けられないという問題点が指摘されていました。
たとえば、手術後、一定程度回復して働けるようになり、その後投薬治療のために再び休むというようなケースや、精神的な疾患で休職を繰り返してしまうような場合、支給開始から1年6か月を経過してしまい、十分な補償が得られないという点が問題とされていました。
<改正後のルール>
支給期間が、実際に傷病手当金をもらっていた期間を通算して、1年6か月経過するまでは、給付を受けられることになります。
これにより長期療養のために復職と休職を繰り返すような傷病でも、休職した期間のみを通算して支給が受けられます。なお、法改正前に傷病手当金を受給している方については、経過措置が設けられ、具体的には2021年12月31日までに支給開始から1年6か月経過していない場合は、法改正後の適用が受けられることになります。支給開始年月日でいうと、2020年7月2日以降、傷病手当金の受給を開始した人が対象となります。