このコラムが配信される頃、12月に入り、街はイルミネーションに彩られていることでしょう。今回のコラムは、この3年間でのコロナ労務対応について、考えてみたいと思います。

リモートワークへの理解が進んだが、中抜け問題が発生し、予期せぬ深夜残業が発生した

幸か不幸か、リモートワークについて、労使ともに、この3年間で理解が進んだ印象です。しかしながら、リモートワークを規程として運用し、問題なく上手に使えている企業ばかりかというと、多くの会社からリモートワークに関するご相談をいただきます。その多くが、「中抜け」に起因する問題です。「中抜け」とは、「一定程度労働者が業務から離れる時間」のことで、リモートワークで発生しやすい事象、とされています。たとえば、ちょっと銀行で用事を済ませてくる、役所で書類を提出する、保育園・幼稚園への送り迎えをする、などの時間のことです。『使用者が業務の指示をしないこととし、労働者が労働から離れ、自由に利用することが保証されている場合は、終業時刻の繰り下げなどの所定労働時間の変更は可能です。ただし、あらかじめ就業規則に規定しておくことが必要です。また、企業が所定労働時間を一方的に変更することはできない。』、とされています。(厚生労働省 テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドラインより)

さて、そもそも、リモートワークだから、中抜けが許され、会社の出勤者には許されないものなのでしょうか?また、リモートワークであれば、事業主は中抜けは許可しないといけないのでしょうか?どちらもNOです。中抜けを行う場合は、事前に適切な方法で申請を行い、許可を受けて可能とするようにしたほうが、労働時間管理の面からも適切です。また、中抜けを許可することと、始業終業の時刻を前後させることは、イコールではありません。中抜けを許可されたとしても、所定労働時間の変更を従業員側が自由に行えるわけではありません。中抜けをしたから、深夜までの労働時間になった、というのも、中抜けと所定労働時間の勤務の管理を、無申請・無許可での運用にしている場合に多く見られる問題です。

メンタル不調の訴えが増えた

この3年間で、メンタル不調の訴えが増えています。いまや傷病手当金申請の32.96%がメンタルヘルス不調の件数となっています。(全国健康保険協会管掌健康保険 現金給付受給者状況調査報告(令和3年度)より)コロナの前から多かったのですが、さらにこの数年でも3割を超える数値になっております。

傷病手当金 メンタルヘルス不調等の経年件数割合

また、年代別に傷病手当金の支給件数の割合をみていると、若年者(20歳~39歳)のうち、傷病手当金を受給している方の半数以上がメンタルヘルスを理由に休職しています。下記の表を見るとよくわかりますが、20歳~39歳までは、精神および行動の障害(メンタルヘルス不調)の割合が50%を超えている、という状況があります。

傷病手当金支給件数の割合【年代別】20~59歳

メンタルヘルスに関する社内相談窓口

メンタルヘルスの会社相談窓口は、まだまだ設置件数が半数程度ではありますが、近年その重要性から、設置を検討する傾向が高くなっています。

労働安全衛生法の第69条により、労働者の心の健康を守るため、事業者は継続的かつ計画的に努力することが求められています。

ただし、会社相談窓口を設置する際には注意も必要で、①相談しやすい(なんでも話せると安心できる)環境を整えることと、②プライバシーに十分に配慮し、事実確認の徹底と、情報の漏洩に十二分に注意が必要などの注意点が複数あります。メンタルヘルスに関する社内相談窓口を検討するの際には、信頼できる労務のスペシャリストに相談いただいたうえで、働きやすい職場環境の構築を進めていきましょう。