「いわゆる『シフト制』により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」が公表されました

シフト制による働き方に関して、厚生労働省より主に以下の留意事項が公表されましたので、制度を導入されている企業様においては改めてご確認ください。内容は目新しいものではありませんが、法的根拠や行政としての見解が示されています。

シフト制= あらかじめ具体的な労働日、労働時間を決めず、シフト表等により柔軟に労働日、労働時間が決まる勤務形態を想定しており、交替勤務(年や月などの一定期間における労働日数や労働時間数が決まっており、その上で、就業規則等に定められた勤務時間のパターンを組み合わせて勤務する形態)を除きます。

■背景

シフト制は、会社の人出不足や労働者のニーズの多様化に柔軟に対応できるというメリットがある一方、労働者の意に反して労働日が多く設定されたり、又は少なく設定されたりすることによりトラブルとなる場合があることから、適切な雇用管理のため公表されています。

■労働契約に関する留意事項

1.労働条件の明示

労働契約の締結時に際し、労働者に対して明示しなければならない労働条件のうち、シフト制の場合、特に以下の点に留意が必要です。

(1)始業・就業の時刻

労働契約の締結時点で、すでに始業及び終業時刻が確定している日については、決まっている部分だけでも、その日の始業及び終業時刻を明示しなければなりません。労働条件通知書等には、単に「シフトによる」と記載するのでは足りず、労働日ごとの始業及び終業時刻を明記するか、原則的な始業及び終業時刻を記載した上で労働契約の締結と同時に定める一定期間分のシフト表等をあわせて労働者に交付するなどの対応が必要です。

(2)休日

具体的な曜日等が確定していない場合でも、休日の設定にかかる基本的な考え方などを明記する必要があります。

例えば、以下のような記載が望ましいと考えられます。

「日曜日から始まる1週間のうち、2日以上として、具体的な日はシフトで指定する。」

「月10日以上かつ、〇月〇日を起算とする4週間ごとに4日以上として、具体的な日はシフトで指定する。」

2.シフト制労働契約で定めることが考えられる事項

トラブル防止の観点から、シフトの作成、変更、設定などのルールについて、就業規則で定める方法や労使で協議して決定する方法により定めることが考えられる内容が例示されています。

<ルールの内容例>

厚生労働省「いわゆる「シフト制」により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」(URL)https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_22954.html

3.シフト制労働者を就労させる際の注意点

(1)労働時間

変形労働時間制を導入している場合を除き、労働時間の上限は原則1日8時間、1週40時間となりますので、この上限を超えて働かせるには36協定の範囲で行う必要があります。

(2)年次有給休暇

シフト制であっても、原則として労働者が請求した場合、請求する時季に年次有給休暇を取得させなければなりません。シフト作成時に予め希望を聴取したうえでシフトを確定する等のルールを作成することも一案です。

(3)休業

通常の労働者と同様に、所定労働日に会社側の都合で休業させた場合は、平均賃金の60%以上の休業手当の支払いが必要となります。ただし、会社の故意または過失等により労働者を休業させることになった場合は、賃金の100%を支払う必要があります。一旦シフトを確定させた後のシフト削除は休業とされる場合があります。会社側に起因しない、外部より発生した事故により、かつ会社が最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故による休業であれば不可抗力として、休業手当の支払い義務を免れます。休業を回避するための具体的努力(別の勤務地で就業させるなど)を行うことが重要です。

(4)安全衛生

通常の労働者と同様に、会社が負っている、安全衛生教育や健康診断の実施などの義務は、シフト制労働者に対しても同様に適用されます。

4.シフト制労働者の解雇や雇止め

(1)解雇

通常の労働者と同様に、解雇する場合、①30日以上前の予告、②解雇予告手当の支払い(平均賃金の30日分以上)のどちらかが必要です。期間の定めがある労働契約である場合、期間中は、通常の解雇理由よりもやむを得ない事由がなければ解雇できません。

(2)雇止め

通常の労働者と同様に、期間の定めがある労働契約である場合、雇止めのルールが適用されます。なお、契約が3回以上更新されているか、労働者が雇入れ日から1年を超えて継続勤務している場合、雇止めには契約満了日の30日前の予告が必要です。

5.その他

(1)均衡待遇

シフト制労働者がパートタイムや有期契約である場合には、通勤手当の支給やシフト減に伴う手当の支払いなどで、正社員と比べて不合理な待遇にならないよう留意が必要です。待遇が異なること自体は問題ではありませんが、説明可能な状態であることが求められます。

(2)社会保険、労働保険

通常の労働者と同様に、シフト制労働者も労働時間などの要件を満たせば、雇用保険や健康保険・厚生年金保険の被保険者にもなります。なお、令和4年10月1日から短時間労働者に対する健康保険、厚生年金の適用が拡大されますのでご留意ください。また、シフト制労働者も労災保険の適用対象となります。

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