60時間超の残業・中小企業への調査的監督スタート

法改正情報 平成25年5月14日(火曜日)

平成22年4月1日に施行した改正労働基準法で時間外割増率が引き上げられたものの、原則として中小企業に対しては、「当分の間、適用しない」しており、施行後3年を経過した段階で、「時間外労働の動向等」を勘案した結果に基づき、中小企業の適用猶予について「必要な措置を講じる」としています。
そして、その3年を経過した今年4月から、厚生労働省は、現在大企業に限り適用している1カ月60時間を超えた場合の時間外割増率「50%以上」を、中小企業にまで適用拡大するかを検討するため、全国で調査的監督をスタートさせました。今回の調査的監督についてまとめましたのでご覧ください。

※ 詳しくは浅山社会保険労務士事務所まで

★猶予となっている中小企業

①資本金または出資総額 または ②常時使用する労働者数
小売業 5,000万円以下 小売業 50人以下
サービス業 5,000万円以下 サービス業 100人以下
卸売業 1億円以下 卸売業 100人以下
上記以外 3億円以下 上記以外 300人以下

★調査的監督とは?

 1カ月60時間以上の時間外労働がどのくらいあり、適用している時間外割増率がどの水準にあるかなどについての実態を大手・中小問わず把握する方針。今年夏ごろまでに調査結果をまとめ、労働政策審議会に提出する見通しとなっています。

★割増率が50%が適用されるようになると…

1カ月の所定労働時間160時間、出勤日数20日、時間外時間70時間の場合
基本給   200,000円

   営業手当  20,000円
家族手当  10,000円 ⇒ 割増賃金の除外となる手当
通勤手当  15,000円 ⇒ 割増賃金の除外となる手当

<1カ月の割増賃金単価(割増率25%の場合)>
(基本給 +営業手当)   ÷ 1カ月の所定労働時間 ×割増率
(200,000円+20,000円)÷   160H  ×  1.25 =1,719円 (四捨五入)

<1カ月の割増賃金単価(割増率50%の場合)>
(基本給 +営業手当)   ÷ 1カ月の所定労働時間 ×割増率
(200,000円+20,000円)÷   160H  ×  1.5   =2,063円 (四捨五入)

<割増賃金の額>
割増率50%適用前  1,719円 × 70時間 = 120,330円
割増率50%適用後 (1,719円×60時間)+(2,063円×10時間)=123,770円

1年あたり、41,280円の負担増になります。

【参考リンク】

「労働基準法の一部改正法が成立~平成22年4月1日から施行されます~ (厚生労働省)」

http://www.mhlw.go.jp/topics/2008/12/dl/tp1216-1e.pdf

※ 割増率50%の適用に関してのご質問は、浅山社会保険労務士事務所(TEL 043-255-6410)までご相談ください。

お問い合わせは、下記よりお願いいたします。

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