“タクシー・バス運転手の労働時間等の改善のための基準”大幅見直しの予定
厚生労働省から「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」を大幅に見直す方針であるとの発表がありました。具体的な見直し内容も今年中には決定し、労働政策審議会労働条件分科会に提出する予定です。
時間外労働の上限規制の現状
現在、時間外労働の上限は、平成30年成立の改正労働基準法により原則、月45時間・年360時間、臨時的な特別の事情がある場合でも年720時間としています(一般則)。
自動車運転業務を含む一部業種(建設業、医師等)については、上限規制の施行を猶予されている状態にあり、令和6年4月以降に月45時間・年360時間が適用になり、臨時的で特別な事情がある場合でも年960時間とされる予定です。しかし、健康被害が最も深刻な業務であるとともに、厳しい人手不足に陥っている現状を受けて、できるだけ早期に一般則に移行できるように協議が進められています。
具体的な見直し案
運転手の拘束時間には限度が設定されており、下記の通りに拘束時間を見直す方針だと発表がありました。
- ハイヤー・タクシー運転手:1ヵ月の拘束時間299時間→288時間へ短縮
- バス運転手:4週平均1週の拘束時間65時間→1ヵ月の拘束時間を設定し、年3300時間を超えない範囲で281時間
確定事項ではありませんが、拘束時間が大幅に短縮されると見込まれます。
過重労働にならないために
令和3年11月に厚生労働省から過重労働解消キャンペーンが実施され、時間外労働等に対する監督の強化、臨検の実施等が行われています。自動車運転業務に限らず、時間外労働の上限規制については一般則への一本化は既に始まっています。36協定・労使協定の締結に留意するだけでなく、勤怠システムを利用したタイムマネジメントを行うなど、日ごろからの管理を徹底し法改正に備えましょう。
また、弊所にて過重労働解消キャンペーンについての対策セミナーも開催予定です。お悩みを抱えている企業様は是非ご参加ください。
参考資料:タクシー運転者の労働時間等の改善基準のポイント/バス運転者の労働時間等の改善基準のポイント
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/040330-12.pdf
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/040330-11.pdf
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