月60時間超の残業 平成28年4月より中小企業も「5割増」
法改正情報 平成26年5月12日(月曜日)
平成22年4月1日に施行した改正労働基準法では、現在従業員数が300人超の大企業に限り1カ月60時間を超えた場合の時間外割増率「50%以上」に引き上げました。中小企業に対しては、「当分の間、適用しない」としていましたが、政府は中小企業の残業代を引き上げる検討に入りました。平成28年4月からの運用を目指しています。
現在の25%増しから大企業と同じ水準に引き上げて、なるべく長時間労働を減らすよう促すことが目的です。
中小企業にとっては人件費の負担増が懸念される改正です。今回の改正について、今後の影響も含めてまとめましたので、ご覧ください。
※ 詳しくは浅山社会保険労務士事務所まで
★猶予となっている中小企業
業種 | ①資本金または 出資総額 |
または | ②常時使用する 労働者数 |
小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 | |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 | |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 | |
上記以外 | 3億円以下 | 300人以下 |
★割増率が50%が適用されるようになると…
1カ月の所定労働時間160時間、出勤日数20日、時間外時間70時間の場合
- 基本給 200,000円
- 営業手当 20,000円
- 家族手当 10,000円 ⇒ 割増賃金の除外となる手当
- 通勤手当 15,000円 ⇒ 割増賃金の除外となる手当
<1カ月の割増賃金単価(割増率25%の場合)>
(基本給 +営業手当) | ÷ | 1カ月の所定労働時間 ×割増率 |
(200,000円+20,000円) | ÷ | 160H×1.25 =1,719円 (四捨五入) |
<1カ月の割増賃金単価(割増率50%の場合)>
(基本給 +営業手当) | ÷ | 1カ月の所定労働時間 ×割増率 |
(200,000円+20,000円) | ÷ | 160H×1.5 =2,063円 (四捨五入) |
<割増賃金の額>
割増率50%適用前 1,719円 × 70時間 = 120,330円
割増率50%適用後 (1,719円×60時間)+(2,063円×10時間)=123,770円
123,770円-120,330円=3,440円 3,440円×12カ月=41,280円
1年あたり41,280円の負担増!
従業員50人だと2,064,000円の負担増!
★今後の課題と影響
人件費を抑えるために残業代を減らす効果が期待できます。一方で、かえって残業代を払おうとしない企業が増えてしまう可能性もあるため、厚生労働省は、労働基準監督署による監視の強化も併せて検討しています。
また、例えば運送業など残業時間を減らしにくい業界については、企業の残業代負担を抑えるため、助成金などの措置を検討しています。
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