【東京商工リサーチ掲載記事】働き方改革に取り組む会社への助成金が新設されました
政策に左右される助成金
厚生労働省関連の雇用に関する助成金のほとんどが、国の政策によって創設されます。近年の代表的な助成金と言えば、非正規雇用労働者の正社員転換、待遇改善を図るために、非正規雇用労働者を正社員へ転換させること等を目的とした「キャリアアップ助成金」があります。
新規創設の助成金もあれば、統廃合される助成金、受給要件の変更が行われる助成金もあり、毎年そのすべてを把握するのは専門家である我々も苦慮しています。
助成金はもらうのが当然の権利!?
ところで、雇用に関する助成金の財源をご存知でしょうか?実は事業主が支払っている雇用保険料が財源となっています。一般の事業ですと、労働者負担の雇用保険料率は3/1000、事業主負担は6/1000です。労働者負担の分は、すべて失業等給付の財源となります。一方、事業主負担の6/1000の内、3/1000は失業等給付の財源、残り3/1000は雇用保険二事業の財源となります。雇用保険二事業とは、①雇用安定事業、②能力開発事業の2つの事業のことです。①雇用安定事業は、事業主に対する助成金、中高年齢者や若者、子育て女性に対する就労支援等の事業のこと。②能力開発事業は、労働者に対する訓練、事業主が行う教育訓練の支援等の事業のことです。雇用保険二事業は、労働者の負担はなく、全額事業主負担で賄われます。
つまり、事業主が支払っている雇用保険料が、助成金に使われています。要件に該当するものがあれば助成金をうまく活用することをお勧めします。
令和元年オススメ助成金①「時間外労働等改善助成金 勤務間インターバル導入コース」
今回は、今年度おススメの助成金を2つご紹介します。1つ目は、「時間外労働等改善助成金 勤務間インターバル導入コース」です。実は、この助成金は昨年度もありましたが、とある理由で注目されています。その理由は後述いたします。
働き方改革の一環として、「勤務間インターバル制度」の導入が努力義務化されています。勤務間インターバル制度とは、勤務終了後、次の勤務までに一定時間以上の休息時間を設けることです。例えば、11時間の勤務間インターバル制度を設け、始業時刻が8時、その日の勤務終了が23時だった場合、休息時間を11時間設けるため、翌日の始業開始は8時ではなく始業時刻を後ろ倒しにし、11時始業とします。この制度は「努力義務」のため、できたら導入してくださいね、というレベルものです。
この助成金は、勤務間インターバルの導入について、勤怠システムの導入や専門家のコンサルティングを行った場合、経費を助成するものです。新規導入の場合の補助率は、3/4です。上限額は、休息時間数9時間以上11時間未満の場合は80万円、休息時間数11時間以上の場合は100万円です。
支給対象となる主な取組内容は、外部専門家によるコンサルティング、就業規則・労使協定等の作成・変更、労務管理用ソフトウェアの導入・更新等の経費です。
残業がそれほどまでに多くない業種等、休息時間を確保しやすい会社様におススメする助成金です。
令和元年オススメ助成金②「人材確保等支援助成金 働き方改革支援コース」
2つ目は、「人材確保等支援助成金 働き方改革支援コース」です。この助成金は、前述の「時間外労働等改善助成金 勤務間インターバル導入コース」の支給を受けた事業主が対象となります。注目されている理由はこれだったのです。働き方改革に取り組むうえで、人材を確保することが必要な中小企業が新たに労働者を雇い入れ、一定の雇用管理改善を図る場合に助成金が支給されます。
助成金額は、雇入れた労働者(正社員)一人当たり60万円です。生産性要件(伸び率が6%以上の場合のみ)とともに離職率の目標を達成した場合は、60万円+15万円=75万円となります。短時間労働者(週の所定労働時間が20時間以上30時間未満)の場合は、一人当たり40万円、生産性要件等を達成した場合は、40万円+10万円=50万円です。支給対象となる労働者は10名が上限です。
いずれの助成金も紙面の都合上、詳しい要件は載せておりませんので、詳細は厚生労働省のリーフレットをご参照ください。
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