5月31日に育児介護休業法が改正されました。今回は介護に関する変更点に焦点を当てて説明したうえで、現行の介護休業の仕組みについても改めて確認してみたいと思います。

 令和4年に、本人または配偶者の妊娠・出産の申し出をした労働者に対し、個別に(出生時)育児休業制度の周知と取得の意向確認を行うことが、事業主に義務付けられました。令和7年の4月より、介護休業についても同様の仕組みを採用しようというのが、今回の改正の主な内容になります。
 介護をしながらはたらく従業員が、介護休業をはじめとする両立支援制度をしらず、仕事と介護の両立が困難になっている状況を改善し、介護離職を防止することを目的として改正が行われました。

仕事と介護の両立支援制度の周知の強化等

主な改正点は以下の通りです。

1事業主に以下の措置を講ずることが義務付けられます。
・介護に直面した労働者が申出をした場合に、両立支援制度等に関する情報の個別周知、意向確認を行う
・介護に直面する前の早い段階(40歳等)の両立支援制度等に関する情報提供
・研修や相談窓口の設置等の雇用環境の整備
2介護期の働き方について、労働者がテレワークを選択できるよう事業主に努力義務。
3介護休暇の勤続6か月未満の労働者の労使協定除外の仕組みは廃止。

主な両立支援制度

 つぎに主な両立支援制度の概要について確認してみましょう。制度の対象となるのは要介護状態の対象家族を介護する労働者です。ここで言う要介護状態とは、負傷、傷病又は身体上若しくは精神上の障害により2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態、対象家族とは配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹及び孫になります。

制度の種類制度の概要
介護休業要介護状態の対象家族1人につき3回まで、通算93日の介護を目的とした休業が可能。一定の要件を満たした雇用保険の被保険者であれば、介護休業給付金が受けられます。
介護休暇介護、通院等の付添い、介護サービスを受けるための手続き代行などを目的に、年5日まで(対象家族が2人の場合は年10日)1日または時間単位で取得可能な休暇。介護終了まで取得可能。
※所定外労働の制限労働者が請求した場合、事業主は所定労働時間を超えて労働させてはならない。介護終了まで取得可能。
※時間外労働の制限・深夜業の制限労働者が請求した場合、事業主は1か月につき24時間、1年につき150時間を超える時間外労働をさせてはならない。また、午後10時から午前5時までの間について労働させてはならない。介護終了まで取得可能。
所定労働時間短縮等の措置要介護状態にある対象家族1人につき、制度の開始から3年以上の期間内に2回以上、「所定労働時間を短縮する制度、フレックス制度、始業・終業の繰り上げ、繰り下げ、介護サービスの費用の助成」のうち、いずれかの措置を講じなければならない。
※事業の正常な運営を妨げる場合は、事業主は請求を拒めます。

  制度が適用されるかどうかは、雇用契約形態、入社後の勤続年数や労使協定などによっても異なります。育児休業に関する制度と重なる部分もありますので、あわせて確認していただくと理解が深まると思います。

介護について相談しやすい雰囲気の醸成を

 社会全体で高齢化が進み、これから介護に直面する労働者は増えていくことが予想されます。はたらき盛りの従業員が介護によってやむなく離職することがないよう、制度の周知を行い、従業員の方が安心してはたらける職場環境を整えていきましょう。