】トレンド~LINEで提出された退職届は有効か?~

 先日、某ニュース番組で「LINEで退職を伝える人が増えている」という話題を取り扱っていました。同番組に出演していたホリエモンこと堀江貴文氏が「辞めるとかLINEで伝えてくれた方が嬉しい。どうせ引き留めても経験上引き留めるだけ無駄。辞める社員に時間を使いたくない」とコメントしていました。実際に社長さんからの「アルバイトが突然LINEで辞めると送ってきて連絡が取れない。どうしたらよいでしょうか?」という質問は多くなっています。

そもそもLINEでの退職届提出は法律的に有効か?

 退職の意思表示は、口頭でも書面でも相手(会社)に到達した段階で有効となります。したがってLINEだから駄目というものではありません。社会人のマナー的にいかがなものかと思う部分もありますが、若いアルバイトが多い職場では珍しくない事例となっています。

 ただし、半世紀も前の話ですが、就業規則で退職手続きについて退職願を提出することを義務付けていたため、口頭での退職意思表示が無効となった裁判例もあります。

退職の撤回は可能か?

 会社が振り回されてしまうケースは、一度LINEで「辞める」と言った従業員が何食わぬ顔で普通に出勤してきた場合です。従業員が退職を撤回することは可能でしょうか?

退職の意思表示には次の2種類があります。

①合意解約の申込「退職してもよろしいでしょうか?」

 従業員が退職したいのでお伺いを立てるケースが合意解約の申込です。この場合、ボールは一回会社に投げられましたので、会社が解約に合意するか否か意思を伝える必要が出てきます。会社が従業員に退職に合意する意思が伝わってはじめて退職の意思表示が成立します。つまり、会社が合意するまでは従業員は合意解約の申込を撤回することが可能と考えられます。

②辞職の意思表示「○月○日に辞めます」

 会社の意向に関係なく一方的に辞める意思(辞職)を伝えた場合、本人から退職の意思表示が到達したタイミングで退職の意思表示が成立します。辞職の意思表示は、本人は撤回できませんし、会社が強引に引き止めようとしても原則民法のルールにより14日後に退職(解約)となります。(なお完全月給の場合は少し異なります。本稿では割愛)

辞めると言ったり、辞めないと撤回したり、で振り回されない

 さて一度辞めるとLINEを送ってきたアルバイトが退職を撤回してきた場合はどうなるでしょうか?前述の「(撤回可能な)合意解約の申込」なのか、「(撤回できない)辞職の意思表示」なのか、なかなか判断に困るところです。退職届が有効か無効か争われた裁判例を見ると、司法は「(撤回可能な)合意解約の申込」と判断する例が多いように思います。

 会社として撤回されると困る退職届が提出された場合は、「退職届を受理して退職を認めた」という証拠を残しておくことが有効です。具体的には、「○月○日貴殿発、退職届を受理し、●月●日付の退職を認めます」の書面を本人に交付することが有効だと考えられます。会社が退職に合意した以上、以降の撤回はできません。

ではLINEで労働条件通知書を送ることもできるのか?

 2019年4月より労働基準法施行規則が一部改正され、今まで書面明示が必要だった労働条件通知書について、本人の同意があればFAXまたは電子メール等で送付することが可能となります。

 LINEでも良いのかというと注意点があります。同施行規則第5条には、「当該労働者が当該電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することができるものに限る」と記載されており、PDFのような形で印刷できるフォーマットが求められます。

 弊社のクライアント様でも、チャットワークやLINEなどチャットツールを連絡手段として用いる企業が増えており、人事労務においても情報技術の理解は必須となってきました。

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