【東京商工リサーチ掲載記事】海外に住む方は健康保険の被扶養者になれないことになりました~原則とその例外について~
令和元年5月に「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律」が成立し、被扶養者認定における国内居住要件が新設されました。
※ただし、日本に住所を有しないもののうち、日本に生活の基礎があると認められるものについては、例外的に要件を満たすこととされています。(後述)
このため、施行日(令和2年4月1日)以降は、日本年金機構における被扶養者認定の際に、国内居住要件を満たしていることを確認し、認定後は、協会けんぽ等が毎年実施する被扶養者再確認等により確認することとされました。また、施行日までの間に被扶養者認定を受けた者であって、施行日時点で国内に居住していない者については、施行日時点で適切な資格管理ができるよう、健康保険被扶養者(異動)届(国内居住要件の例外に該当する旨の確認又は該当しないことによる認定の取消に関するもの)の提出を求めるなど、協会けんぽ等において必要な対応を行います。
これにともない、現在、千葉県内の事業主様において、海外在住被扶養者の現況確認書類が届いていることが確認されています。これは、国内に居住をしていない、被扶養者認定を受けている方について、「国内居住用件の例外」に該当する旨の確認をおこなうものです。事業主の皆様におかれましては、協会けんぽから、従業員様の被扶養者について国内居住用件の例外に該当する旨の確認書類が届いた場合には、速やかに書類を開封していただき、必要書類を添付し、期日までに返送をいただくようにお願い致します。
国内居住用件の考え方
今回の改正により、健康保険法第3条第7講に定める「住所」については、住民基本台帳に住民登録されているかどうか(住民票があるかどうか)で判断されます。住民票が日本国内にある方は原則、国内居住用件を満たすもの、とされます。
このため、例えば、当該被扶養者が一定の期間を海外で生活している場合も、日本に住民票がある限りは、原則として、国内居住用件を満たすこととなります。
では、日本国内に住所がない場合はどうなるのでしょうか?
国内居住用件の例外と証明書類
日本国内に住所がないとしても、
・海外に一時的に留学をする学生
・外国に赴任する被保険者に同行する家族等
の一時的な海外渡航を行う者等については、日本国内に生活の基礎があると認められる者として、国内居住用件の例外として取り扱われます。
国内に住所がない場合の添付書類は、下記のとおりです。
書類等が外国語で作成されたものであるときは、その書類に翻訳者の署名がされた、日本語の翻訳文の添付が必要です。
国内居住要件の例外 | 証明書類 |
①外国において留学をする学生 | 査証、学生証、在学証明書、入学証明書等の写し |
②外国に赴任する被保険者に同行する者 | 査証、海外赴任辞令、海外の公的機関が発行する居住証明書等の写し |
③観光、保養又はボランティア活動その他就労以外の目的で一時的に海外に渡航する者 | 査証、ボランティア派遣機関の照明、ボランティアの参加同意書等の写し |
⑤①~④までに掲げるもののほか、渡航目的その他の事情を考慮して日本国内に生活の基礎があると認められる者 | 厚労省保健局に相談しつつ個別に判断 |
今回、千葉県内の事業主様において確認されている書類においては、上記の添付書類のほかに、生計維持関係の確認できる証明書類の提出も、同時に必要とされています。海外特例用件を満たしている場合には、あわせて生計維持関係の確認できる書類の添付が必要です。証明書類で海外特例用件や生計維持関係の確認を行うことが、平成30年3月発出の厚生労働省の通知で示されており、証明書が添付できない場合に申立書で確認を行うことは認められていません。証明書類を提出できない場合は、事実関係を確認できないため、扶養解除の手続きが必要となってしまうので、注意が必要です。
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