】2022年4月1日改正の育児休業に関する法改正への対応事項について<社会保険労務士 小山健二>

2022年は育児休業に関する法改正が2段階で施行されます。  2020年度の男性の育休取得率は12.7%と前年の7.5%を大きく上回る結果となりましたが、政府目標の13%にはわずかに届きませんでした。2022年4月と10月に、更なる男性の取得促進に向けた法改正が控えていますので、その概要をご案内いたします。

■2022年4月改正の概要

1.雇用環境整備の措置義務

 育児休業を取得しやすい雇用環境の整備に向けて、会社は、育児休業と産後パパ育休*の申し出が円滑に行われるようになるため、以下のいずれかの措置を講じなければなりません。このような措置をとることで、育児休業を身近に感じ、取得することを自然に検討できる状態を作るべく義務化となりました。

*産後パパ育休に関しては2022年10月から対象となります

  1. 育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施
  2. 育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備等(相談窓口設置)
  3. 自社の労働者の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供
  4. 自社の労働者へ育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知

出所:厚生労働省パンフレット「育児・介護休業法改正ポイントのご案内」(都道府県労働局雇用環境・均等部(室))

当面育児休業予定者がいない場合であっても、4月1日以降は当該措置の実施は全会社に義務付けられます。会社様におかれましては、どの措置を実施するのか、3月中に検討を済ませておくことが必要となります。

2.個別の周知・意向確認の措置義務

 本人または配偶者の妊娠・出産の申し出をした労働者に対して、会社は育児休業制度等に関する以下の事項の周知と休業の取得意向の確認を、個別に行わなければなりません。制度を利用できることすら知らなかったり、利用の申し出がしにくい雰囲気のため躊躇していたケースも少なくないことから、利用機会の門戸を広げるための措置として義務づけられました。

周知事項
  1. 育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施
  2. 育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備等(相談窓口設置)
  3. 自社の労働者の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供
  4. 自社の労働者へ育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知
個別周知・
意向確認の方法
  1. 面談
  2. 書面交付
  3. FAX
  4. 電子メール等
上記のいずれか。
注:1はオンライン面談も可能。3、4は労働者が希望した場合のみ

出所:厚生労働省パンフレット「育児・介護休業法改正ポイントのご案内」(都道府県労働局雇用環境・均等部(室))

対象従業員が育児休業制度の利用を希望するか否かに関わらず、個別の周知義務は発生します。会社様におかれましては、制度を理解し、周知事項を3月中には準備しておき、4月からの運用開始に備えることが必要となります。

3.有期雇用労働者の育児、介護休業取得要件の緩和

 従来の育児休業、介護休業の取得については、有期雇用労働者のみ「引き続き雇用された期間が1年以上」という要件がありましたが、4月1日からは撤廃されることになります。一方、労使協定により勤続1年未満の従業員を育児休業、介護休業制度の適用除外としていた会社様においては、事実上、本改正の影響はありません。育児介護休業規程等の改正部分の修正が必要となります。

■2022年10月改正の概要

1.産後パパ育休(出生時育児休業)の創設

 子の出生後8週間以内に4週間まで、通常の育児休業とは別で、取得が可能となります。なお、休業時にまとめて申し出ることで2回に分割して取得することが出来ます。産後パパ育休中は、労使協定を締結して、対象従業員が希望した範囲(ただし、休業期間中の所定労働日数、所定労働時間の半分までを上限とする。)に限り、就業することも可能です。

2.育児休業の分割取得

 従来は、原則として分割取得は出来ませんでしたが、改正後、産後パパ育休、1歳までの育児休業については、各2回までの分割取得が可能となります。上記、産後パパ育休の創設と同様に柔軟な育休の取得や多様な働き方への対応が促進されることが予想されます。

3.育児休業中の社会保険料免除制度の変更

 休業制度の改正とあわせて、育児休業中の社会保険料免除のルールが一部改正となります。従来は、月末時点で休業の場合のみ、当該月の保険料が免除されていましたが、1か月の中で休業期間が2週間以上の場合にも保険料の免除を受けることが出来ることになります。また、賞与にかかる保険料について、従来は月末時点で休業していれば当該月に支給された賞与の保険料が免除されていましたが、今後は1か月を超えた休業の場合のみ、賞与の保険料が免除されますので、ご注意ください。

 以上、育児休業制度については、大きな改正の一年となります。制度内容の理解や規程の見直しを行う良い機会でもありますので、必要あればお気軽にお問い合わせください。

関連ブログ

お問い合わせは、下記よりお願いいたします。

弊社の記事の無断転載を禁じます。なお、記事内容は掲載日施行の法律・情報に基づいております。本ウェブサイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。社会保険労務士法人エフピオ/株式会社エフピオは本ウェブサイトの利用ならびに閲覧によって生じたいかなる損害にも責任を負いかねます。

タグ:
社会保険料 , 育児休業 ,
   

関連記事

2024.04.30
東京商工リサーチ掲載記事
名ばかり個人事業主のリスク<社会保険労務士 石川宗一郎>
2024.04.15
東京商工リサーチ掲載記事
有休休暇の賃金計算~日によって勤務時間がバラバラのときは?~<社会保険労務士 間庭基也>
2024.04.01
東京商工リサーチ掲載記事
『社員研修の目的と企画・導入』について<社会保険労務士 廣瀬潤>
2024.03.04
東京商工リサーチ掲載記事
週10時間勤務で、雇用保険加入へ ~ダブルワーク時の労災保険、雇用保険、社会保険の取り扱いはどうなるの?~<社会保険労務士 浅山雅人>
2024.02.28
東京商工リサーチ掲載記事
マイナンバーカードの健康保険証 利用されてますか?<社会保険労務士 伊藤美由起>
2024.02.05
東京商工リサーチ掲載記事
労災で休業が発生した場合の休業補償のイロハ ~知っておくべき、基礎知識~ <社会保険労務士 小野田春奈>
2024.01.22
東京商工リサーチ掲載記事
雇用保険=失業保険にあらず。人材育成に活用を!<社会保険労務士 松井 碧城>
2023.12.25
東京商工リサーチ掲載記事
建設業だったら協定さえ結んでおけば、月45時間超えて残業させても大丈夫なんですよね?<コンサルタント 松岡藍>
2023.11.27
東京商工リサーチ掲載記事
「会社分割」における労働契約の承継<社会保険労務士 小山健二>
2023.11.20
東京商工リサーチ掲載記事
社長の金庫に入れられた就業規則は有効か?<社会保険労務士 石川 宗一郎>