【東京商工リサーチ掲載記事】不法就労の悪質ブローカーにご注意<社会保険労務士 石川宗一郎>
求人広告を出しても全く反応がない。困り果てた社長のもとに、外国人労働者のブローカーを名乗る営業がやってきます。
「外国人労働者をあっせんしている」「就労ビザも提携している行政書士が手続きしてくれる」「半年後には10人送れる」などと勧誘してきます。
「これで人手はなんとかなる」と安心したのも、つかの間、実は不法就労だったという事例を最近よく見聞きします。事業主も知らなかったでは済まされず、不法就労助長罪に問われる可能性があります。不法就労助長罪は3年以下の懲役または300万円以下の罰金が規定されています。
不法就労の典型パターン
どのような場合、不法就労になってしまうのでしょうか。典型的なパターンは次の通りです。
①不法滞在者を働かせてしまった。
②在留カードは持っているが、就業許可がないものを働かせてしまった。
③在留カードは持っているが、就業許可を取った業務以外の業務に従事させてしまった。
事業主に違法性の自覚がないのは③のパターンが多く、実はそれは不法就労だったと後に気がつくことになります。外国人を雇用する場合は、在留カードの有無だけではなく、就労制限に抵触していないかも確認が必要です。
具体的に違反となってしまう例を挙げると、「会計」「プログラマー」「通訳」等での就労許可を取っているにも関わらず、その実態は工場のラインや飲食店で単純な作業に従事しているような場合です。
悪質なブローカーの手口
前述の悪質なブローカーの手口は、「会計」や「プログラマー」などの就労資格をもった外国人労働者を、単純作業しかない工場や飲食店へあっせんして見返りを得るものです。ブローカーは受け入れた会社には違法性があることは説明しません。会社は言われるがまま、知らず知らずのうちに不法就労に加担することになります。途中で違法性に気がついてあっせんする契約を解消したところ、違約金を請求される事例もあります。
外国人の就労をあっせんする企業がすべて悪質ではありませんが、就労資格についてはよく確認する必要があります。
○○業許可でのビジネスでは欠格事由に・・・
建設業や派遣業といった免許を持った会社では、出入国管理及び難民認定法で罰金以上の刑に処せられた場合、欠格事由に該当し、許可が取消になります。最悪廃業となります。
在留カードの確認と雇用時の届出
外国人を新たに雇用したときは「外国人雇用状況の届出」をハローワークに行わなければなりません。(同時に雇用保険の被保険者になる場合は、雇用保険被保険者取得届を提出することで「外国人雇用状況の届出」を行ったことになります)「外国人雇用状況の届出」は短時間アルバイトでも提出しなければなりません。
採用する際には在留カードに書かれた就労制限の有無の欄をよく確認する必要があります。なお在留カードは、失効した物や偽造された物も多いため、出入国在留管理庁のホームページで、在留カードの番号が失効していないか情報照会をかけることができます。合わせて確認することをおすすめします。
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