【弁護士解説】~ここ最近の労働紛争の雑感-その②~<よつば総合法律事務所 弁護士村岡つばさ>
前回に引き続き、今回も「ここ最近の労働紛争の雑感」をお話しします。前回は総論でしたが、今回は各論として、残業代案件の雑感です。
■請求金額が非常に増えてきた
昨今の法改正により、残業代請求の時効期間が、2年間⇒3年間に伸びました。単純計算で、1.5倍の残業代請求を受けることになります。これまでは、1名あたり1000万円を超える残業代請求は「それほど多くない」印象でしたが、現在では「それなりに多い」印象です。
■複数の労働者で同時に請求するケースが増えた
本当に多いです。2~3人はざらです。残業代請求が連鎖するケースも良く目にします。正確な理由は不明ですが、これも、前回の雑感①で記載した、「労働者側に弁護士が就くことが増えた」のが原因と思われます。有名な「国際自動車事件」の残業代請求事件では、198人(!)もの労働者が会社に対して残業代請求をしており、会社が4億円もの和解金を支払っています。
■「今は通用しなくなった」賃金体系がある
残業代請求で一番怖いのがこれです。「昔は良かったけど今はダメ」というものです。「実際に働いた労働時間に応じて残業代を計算し、実額支給している」場合には大きな問題はないですが、固定残業代や、歩合給が絡む給与体系の場合には注意が必要です。 この「通用しない」とは、裁判所がNGを出す(=有効な残業代の支払と認めてくれない)ということです。新たな判例・裁判例が出たことにより、これまでの裁判所の流れ・考え方がガラッと変わることもあります。
■未払残業代=会社の経営を揺るがす大きな問題になっている
未払残業代のリスクを放置する=廃業リスクを抱えるのとほぼ同義と考えています。 「予期せぬ数千万円もの債務が会社に降り注ぐ」と考えれば、事の深刻さがご理解いただけるかと思います。「創業から数十年、一度も残業代請求をされていない」会社が、ポコポコと残業代請求を受けています。雑感①で記載した、弁護士に依頼するハードルが非常に低くなっていることが理由でしょう。このコラムを読んで、少しでもご不安を感じられた企業様は、一度(よつばではなく)エフピオ様にご相談ください!
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