【弁護士解説】~ハラスメント調査の注意点-その⑥~<よつば総合法律事務所 弁護士村岡つばさ>
ここまで5回に渡り、ハラスメント調査の注意点をお話してきましたが、最後に、行為者への処分などの「事後対応」の問題をお話しします。
■会社が行うべき事後対応とは?
諸々のハラスメント調査の結果、ハラスメントの事実が確認できたとします。この場合、会社としては、①行為者に対する処分(懲戒処分等)と、②被害回復・再発防止のための施策を行う必要があります。
①行為者に対する処分
丁寧に丁寧に調査をしても、最後の処分で足を滑らせてしまうことも多くあります。
「ハラスメント!?けしからん!!」とのことで重い懲戒処分や、場合によっては解雇等を選択すると、処分が重すぎるなどとして、別の労使紛争に発展することがあります。感覚としては、身体的な接触を伴うセクハラ案件や、パワハラというよりはこれ犯罪行為だよね、というくらいの案件(複数回の暴行や相手が大きな怪我をしている場合)でない限り、一発解雇はほぼ無理です。実際には、ハラスメントの事実が確認できた場合でも、背景事情や行為の態様等を考慮して、懲戒処分に至らない「指導」に留めることも珍しくありません。
なお、「処分」とは別に、行為者と被害者を同じ職場に留めておくのは不相当として、異動を選択することも良くあります(これは②で見ていきます)。
②被害回復・再発防止のための施策
①は、行為者に対する処分の話ですが、被害回復の措置や、再発防止のための施策(研修等)等も行う必要があります。
ハラスメントの調査の結果や行為者への処分内容等について、被害申告者に報告を行うのが通常ですが、特に「ハラスメントの事実が確認できなかった場合」や、「本人が望むような懲戒処分等を選択しなかった場合」には、被害申告者への説明には注意が必要です。ジ十分な説明がないと、「相談したのに何もしてくれなかった」として、会社に対する敵意や不信感を招く可能性があります。
なお、①でも述べた「異動」ですが、会社の組織上の問題等で、行為者の異動をどうしても行うことができず、被害者に異動してもらうしかない場合も良くあります。この場合、「私は被害者なのに…」という不満に繋がりやすいので、事前に十分な説明・協議が必要です
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