】~ここ最近の労働紛争の雑感-その③~<よつば総合法律事務所 弁護士村岡つばさ>

2021年より法律コラムを掲載いただいており、今年が4年目となります。
皆さま本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
「ここ最近の労働紛争の雑感」 の各論として、今回は「解雇・退職」についてお話していきます。

■「解雇」で負けるとどうなるの?

「負ける」=解雇無効となるという意味です。
負けると、①多額のお金の支払が必要となり、②かつその労働者が会社に戻ってくる可能性があります。①の細かい説明・理由付けはここでは割愛しますが、「解雇事案で、労働審判や訴訟になった場合、会社がどのくらいの和解金を払っているのか」という統計があります。
例えば裁判での和解の場合、「平均値が613万円、中央値が300万円」です。弁護士が解雇をお勧めしないのは、そもそも日本では解雇のハードルが非常に高いことに加え、上記①②の大きなリスクがあるからです。

■解雇して、実際に揉めるの?

時代は変わりました。今はめちゃくちゃ揉めます。雑感①で記載しましたが、労働者側に弁護士が就いて、大きな紛争に発展すること(そしてかなりの金銭的支出を伴うこと)が大半です。勿論、「絶対に解雇無効と思われる事案」でも、特に労働者側がアクションを起こさずに何事もなく終了になるケースも中にはあります。ただこれはある意味運が良かっただけなので、「過去に揉めなかったから今回も揉めない」わけではありません。

■退職代行を利用して退職する人もかなり多い

最初に退職代行のサービスを知った時に、「お金をかけて退職?」と思ったのですが、かなり普及しています。「退職代行から書面が届いた」という関与先企業様も相応にいます。正直対応は難しく、退職を認めざるを得ないです。「明日から有給休暇を使って一切出勤しない」という主張も、法的には認めざるを得ないです。引継ぎどうするの?という点もよく問題になりますが、引継ぎ未了を理由とする損害賠償も、基本的には認められない傾向にあります。会社にとってはなんとも辛い部分ですね。

この記事を書いている人 
-Writer-

村岡つばさ

よつば総合法律事務所 企業法務部門責任者・弁護士

  • youtube

【略歴】早稲田大学法学部・慶應義塾大学法科大学院卒業
千葉では珍しく「企業法務案件」のみを扱う弁護士。
会社側の労働案件が専門分野。
社労士会、税理士会、弁護士会等各種団体で研修・セミナー講師を多数担当。
税理士法人レガシィより
「これだけやっておけば良い!パワハラ防止法対策」
「使用者側目線 労災対応ノウハウ」セミナー発売中

関連ブログ

お問い合わせは、下記よりお願いいたします。

弊社の記事の無断転載を禁じます。なお、記事内容は掲載日施行の法律・情報に基づいております。本ウェブサイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。社会保険労務士法人エフピオ/株式会社エフピオは本ウェブサイトの利用ならびに閲覧によって生じたいかなる損害にも責任を負いかねます。

タグ:
ハラスメント ,
   

関連記事

2024.04.01
弁護士解説
~効果的なハラスメント研修を行うコツ~<よつば総合法律事務所 弁護士 村岡つばさ>
2024.03.01
弁護士解説
~ここ最近の労働紛争の雑感-その⑤~<よつば総合法律事務所 弁護士 村岡つばさ>
2024.02.01
弁護士解説
~ここ最近の労働紛争の雑感-その④~<よつば総合法律事務所 弁護士 村岡つばさ>
2023.12.01
弁護士解説
~ここ最近の労働紛争の雑感-その②~<よつば総合法律事務所 弁護士村岡つばさ>
2023.11.01
弁護士解説
~ここ最近の労働紛争の雑感-その①~<よつば総合法律事務所 弁護士村岡つばさ>
2023.10.01
弁護士解説
~ハラスメント調査の注意点-その⑥~<よつば総合法律事務所 弁護士村岡つばさ>
2023.09.01
弁護士解説
~ハラスメント調査の注意点-その⑤~<よつば総合法律事務所 弁護士村岡つばさ>
2023.08.01
弁護士解説
~ハラスメント調査の注意点-その④~<よつば総合法律事務所 弁護士村岡つばさ>
2023.07.03
弁護士解説
~ハラスメント調査の注意点-その③~<よつば総合法律事務所 弁護士村岡つばさ>
2023.06.01
弁護士解説
~ハラスメント調査の注意点-その②~<よつば総合法律事務所 弁護士村岡つばさ>