【弁護士解説】～ここ最近の労働紛争の雑感－その①～＜よつば総合法律事務所 弁護士村岡つばさ＞
私の注力分野ということもあり、企業側の労働案件については、常時多数の取扱いがございます。今回からは、数回に亘り、会社側の弁護士からみた、「ここ最近の労働 紛争の雑感」をお話させていただきます。今回は総論です。
■労働者側に弁護士が就くことが「めちゃくちゃ」増えた
会社側にとっては耳の痛い話ですが、案件の種類を問わず、労働者側に弁護士が就くことが「めちゃくちゃ」増えています。これは感覚的なお話です。
特に、残業代、解雇、労災といった案件では、労働者側に弁護士が就くケースが圧倒的に増えています。必然的に解決水準も高くなるケースが多く、会社としてはより慎重な労務管理が求められています。
「なぜ弁護士代理が増えたか」という点ですが、これは弁護士間の過当競争も背景に挙げられます。適切な表現かは分かりませんが、労働者側の労働事件が、弁護士の「ビジネス」として注目されている側面は否定できない印象はあります（私見）。
弁護士事務所間の競争が何をもたらすかというと、価格崩壊です。ネットで「残業代 弁護士 無料」と調べると、本当に数多くの事務所がヒットします。そして、多くの事務所が、「着手金無料」の完全成功報酬の費用体系を設定しています。こうなると、弁護士に依頼する際の一番高いハードルである「費用面」は容易にクリアできます。下で述べるような「情報取得の容易さ」⇒弁護士へのアクセスも容易になっており、弁護士に依頼するハードルは非常に低くなったと考えています（これは良いことではあります）。
■会社よりも労働法に詳しい労働者が増えた
とても便利な世の中になり、今では、インターネットやSNS等で、容易に様々な情報を知ることができるようになりました。顧問先様より、「労働者から●●と言われたんだけど…」というご相談をよくいただきますが、感覚的には半分程度は正しい指摘です。特に有給休暇についての質問・指摘が非常に多いです。 昨今の働き方改革関連法案の改正を含め、労働関係を取り巻く法律の改正は非常に多いです。ここ数年でも、有休のルールの変更、労働時間の上限規制、育児介護休業法の改正など、非常に重要な法改正が続いておりますが、会社としても「ちょっと追い切れていない…」というのが実情ではないでしょうか。
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