【弁護士解説】~懲戒処分の落とし穴~<よつば総合法律事務所 弁護士 村岡 つばさ>
よつば総合法律事務所 弁護士の村岡つばさです。
「従業員が問題を起こしたので、懲戒処分を行いたい」というように、従業員の懲戒処分に関するご相談をいただくことが多くあります。
ただ、懲戒処分には色々と「落とし穴」があります。
1 そもそも懲戒処分とは?
「労働者の非違行為に対する制裁」と考えられています。要は、「悪いことをしたので処罰しますよ」というものです。会社内で行われる刑事罰、というイメージが近いと思います。
懲戒処分には、けん責・戒告、減給、出勤停止、諭旨解雇、懲戒解雇、といった種類があります。けん責・戒告が最も軽く、懲戒解雇が最も重い処分です。
2 陥りがちな懲戒処分のミス
①就業規則がない
実は、就業規則がないと、懲戒処分を科すことすらできません。
②就業規則に定めていない(就業規則を超える)懲戒処分を行った
例えば、就業規則で、「7日間を上限に出勤停止処分を科す」と定められているのに、7日間を超えて出勤停止としてしまうケースがこれに当たります。あくまでも、就業規則で定められた範囲でのみ、懲戒処分を科すことができます。
③本人の言い分等を聞かずに懲戒処分を行った
非常に多いです。懲戒処分を科す場合には、必ず、事前に本人の言い分を聞く必要があります(弁明の機会等と呼ばれます)。これを怠ったという理由だけで、懲戒処分が無効とされるケースもあるので、注意が必要です。
④「重すぎる」懲戒処分
当然ですが、本人の行った行為に比べ、重すぎる懲戒処分は無効となります。感覚的なものですが、特に出勤停止処分以上の懲戒処分は、かなり慎重に行う必要があります。
⑤事実上、二重に処分をしてしまった
1つの問題行動については、1回の懲戒処分しか科すことはできません。
問題行動の調査を行っている期間、自宅待機とし、その後懲戒処分を科すことがあります。この自宅待機期間中、賃金を支給すれば問題ないのですが、この間の賃金を無給にすると、事実上「出勤停止」処分を受けており、別途懲戒処分を科すことは二重処分に当たる!と主張されることがありますので、注意が必要です。
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村岡 つばさ
よつば総合法律事務所
弁護士
【略歴】
埼玉県戸田市にて出生
私立鎌倉学園中学校/ 高等学校卒業
早稲田大学法学部卒業 慶應義塾大学法科大学院卒業
司法試験合格後よつば総合法律事務所へ入所。
企業法務を積極的に取り組み、特に労務分野に明るく、
千葉県社労士会で講演活動を行うなど精力的に活躍中。
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