】強化される年金事務所の調査

 2019年も半分が過ぎました。会社の事務担当者の方は日々、多様な業務に忙殺されていることと思いますが、対象となる従業員の方については一つ一つが大切な意味を持つものばかりになりますので、漏れのない対応を心がけたいものです。そう、漏れについて怖いのが年金事務所の調査。今回は最近の年金事務所の調査の傾向について取り上げてみたいと思います。

年金事務所の調査とは

 年金事務所の調査は主に「窓口調査」です。定期的に行われる調査、定時決定の際の調査や会計検査院を伴う調査があります。近年は、3~5年に一度はどの事業所も調査に当たるとされています。

窓口調査のターゲット1「パート等の未加入者」

 この窓口調査における年金事務所の主なターゲットは「社会保険の加入漏れ」と「月額変更届の提出漏れ」です。前者の加入漏れは文字通り、本来、社会保険の加入をしなければならない従業員が、加入漏れを起こしていないかを調査するものです。一番のポイントは「源泉税を徴収している人数」と「社会保険加入者」の数を比較することで、この窓口調査の持参書類の中には大抵、源泉所得税の領収済通知書が含まれています。この領収済通知書には源泉所得税を納めた金額と「その人数」が記載されていますので、この記載人数と社会保険に加入している人数を比較すれば、原則としてその差数が社会保険に加入していないことが判明します。

 調査ではこの未加入者についてのタイムカード(出勤簿)や賃金台帳について確認が行われ、社会保険に加入しなければならない人か、加入しない人かについて検証が行われます。この検証基準は、当該事業所の通常の従業員(主に正社員)と比較して「1週間の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が4分の3以上」(4分の3要件といいます)のパート等従業員であれば社会保険の加入対象と判断されます。

501人以上の「特定適用事業所」の場合

 平成28年10月以降、被保険者の人数が1年間に6ヶ月以上501人以上になることが見込まれる場合「特定適用事業所」となります。この事業所の従業員の場合、上記の4分の3要件ではなく下記の1~5のすべてを満たす場合、社会保険に加入しなければなりません。

①1週間の所定労働時間が20時間以上 

②月額賃金8.8万円以上(年収106万円以上)

③1年以上継続して雇用される見込みがある 

④社会保険の加入者が501人以上の企業 

⑤学生でない

窓口調査のターゲット2「月額変更届の届出提出漏れ」

 基本給などの固定的賃金の変動が標準報酬等級の差が2等級以上あった月が3ヶ月連続した場合、年金事務所(および健保組合等)に「月額変更届」を提出しなければなりません。この届出をすることにより、変動のあった月の4ヶ月後に社会保険料額の改定が行われます。しかし、この届出が漏れてしまっていることが多いため、年金事務所の調査のターゲットにされています。この調査で届出漏れが判明した場合、変更すべき月に遡って標準報酬月額が改定されますので、昇給時の場合は保険料差額不足分を従業員から徴収する等の調整作業が発生します。

調査で問題が発覚したら

 年金事務所による調査で問題が発覚した場合、時効である2年間の遡及手続きが発生します。今回取り上げたターゲットの他、他で収入があり、4分の3要件に該当した場合(特定適用事業所の場合は前述した要件)、他の事業所でも社会保険の加入が必要になります。これを「二以上勤務者」といいます。主に、役員がこのケースに該当します。この「二以上勤務者」の未届出での指導も見受けられていますので、普段からの正しい手続きと、従業員への必要な連絡をきちんととるように心がけましょう。

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