【東京商工リサーチ掲載記事】男性育休が義務化に!?新設される男性版産休とは<社会保険労務士 小林沙奈江>
政府は2025年までに男性の育休取得率を30%まで上げることを掲げていますが、対して2020年度の実際の取得率は7.48%と非常に低い結果となっています。これを受けて、2022年4月から男性の育休取得促進のための仕組みが新設される等、男性育休について法改正が進んでいます。
今回は、新設される育児休業制度は男性の育児休業が「義務化」になるわけではありません。男女ともに育児休業の取得を促進し、柔軟に休業が取れる様な制度改正になっています。
男性育休の義務化とは?法改正の内容について
(1)有期雇用労働者の取得要件緩和(2022年4月施行)
契約社員・パート等の有期雇用労働者について、育児休業の取得要件が緩和されます。現行の取得要件は、①入社1年以上であること、②子どもが1歳6カ月になるまでに労働契約が満了とされることが明らかでないこと、の2つです。改正後は①が廃止され、②の要件のみになります。
(2)育児休業取得のための個別働きかけ(2022年4月施行)
従業員や従業員の配偶者が妊娠・出産を申し出たときに、育児休業制度について個別周知をしたり、育児休業取得に関する意向の確認を面談等で行うなど、個別の働きかけが義務化となります。この申出にかかる不利益取扱いは禁止です。
(3)育児休業取得のための雇用環境整備(2022年4月施行)
育児休業の申出が円滑に行われるように雇用環境を整備しなければなりません。育児休業に関する研修の実施や相談体制の整備など、いずれかを実施することが義務化となります。
(4)男性版産休制度の新設(2022年10月施行予定)
現行の育児休業は、原則として分割取得はできません。例外として、子どもの出生後8週間以内に育児休業を取得した場合、父親は再取得することができます。(パパ休暇といいます。)
改正後は、子の出生後8週間以内に4週間まで取得が可能、2回に分割して取得が可能となります。申出期間は休業取得の2週間前までとなります。労使協定を締結している場合、育児休業中でも仕事をすることが可能です。就業可能日の上限(休業期間中の労働日・所定労働時間の半分の予定)が設けられる予定になっています。
(5)育児休業の分割取得(2022年10月施行予定)
(4)の男性版産休制度とは別に、分割して2回まで取得が可能です。つまり、男性は最大4回まで分割して育児休業を取得することが可能となります。また、現行は1歳以降に延長する場合、育児休業の開始日は1歳もしくは1歳半時点に限定されていますが、改正後は年齢時点に関係なく育児休業開始日を柔軟に決めることができます。
(6)育児休業取得状況の公表義務(2023年4月施行予定)
常時雇用する労働者数が1,000人超の事業主に対し、毎年少なくとも1回、育児休業の取得の状況について公表を義務付けます。予定される公表内容は、男性の育児休業の取得率または育児休業および育児目的休暇の取得率です。
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