【弁護士解説】~M&Aのトラブルについて-その③~<よつば総合法律事務所 弁護士村岡つばさ>
今回は、M&Aの際に取り交わす契約書等について、簡単に解説させていただきます。
1 秘密保持(機密保持)契約書
M&Aでは、会社の状況や簿外債務の調査・確認のため、非常に重要な書類が会社間で共有されます。また、そもそも「M&Aの話が出ていること」自体、極めて秘匿性の高い情報です。そのため、M&Aを行う際には、かなり早い段階(企業間のマッチング直後)で、秘密保持契約が交わされることが多いです。
秘密保持契約書では、①秘密情報の定義(どのような情報を保護の対象とするか)、②秘密保持義務(第三者に秘密情報を開示・漏洩しない等)、③目的外使用の禁止、④秘密保持の例外(法令に基づく場合や裁判所・行政等から開示を求められた場合等)、⑤損害賠償義務、⑥有効期限等が定められることが一般的です。
2 基本合意書
双方である程度のスケジュール感や費用感の調整が完了した段階で、「基本合意書」という書面を取り交わすことが多いです(ただし省略されるケースもあります)。この基本合意書では、①最終契約に向けてのスケジュール、②その時点で想定されているM&Aの価格(ただし、その後に行われるデューデリジェンスにより金額は変動します)等を定めますが、あくまでも「基本合意」であり、最終的なM&Aの成約を保証するものではありません。そのため、基本合意書を取り交わしたものの、デューデリジェンスの結果等を踏まえ、最終契約に至らないことも珍しくありません。
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3 最終契約書(株式譲渡契約書等)
2の基本合意書締結後、デューデリジェンスを踏まえ、M&Aの最終価格等の交渉を行います。この交渉で合意に至れば、株式譲渡契約書等の(最終)契約書を交わします。これにより、M&Aの最終的な合意が成立します。
例えば株式譲渡契約書では、①株式譲渡の価格、②株式譲渡日、③譲渡時の手続・株式譲渡に必要な書類の交付、④株式譲渡の前提条件(ややこしいので割愛します)、⑤表明保証(非常に重要です。次回コラムでお話します)、⑥損害賠償等が定められることが一般的です。次回では、この最終契約書の重要性についてお話していきます。
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