】労務現場でDX(デジタル化)を成功させるためには?<社会保険労務士 石川宗一郎>

「紙の勤怠簿が非効率でどうにかしたい」「給与計算に時間がかかりすぎている」「社員名簿が整理されておらず紙や電子に点在」等、さまざまな理由で労務管理についてご相談をいただきます。特に勤怠管理から給与計算に至る業務は、毎月振込期限が到来し、ストレスを感じている会社が多いようです。最近ご相談が多い、労務管理のDX化(デジタル化)についてご紹介します。

【DX化とは?】エフピオの人事労務業務のデジタル化(DX)支援

■紙管理に最適化されている労務現場

勤怠簿が紙で、その数字を拾って給与計算ソフトに入力している会社からご依頼がありました。これでは給与計算に手間がかかることは言うまでもありませんが、月末にならないと出勤簿が集計されないため、労働時間の日々の管理や長時間労働の是正もすべて後手に回っていました。規制が厳しくなった36協定についても、月末になって初めて上限を超えてしまったことがわかるという状況でした。

■目標設定の大切さ

残業申請、休暇申請、遅刻早退申請・・・とあらゆる日々の申請が紙で行われており、それらの集計にために残業が状態化していました。これらの業務に1週間掛かっているものを1日で終わらせられないか?というのが目標となりました。

DX化(デジタル化)において「何のためにDX化(デジタル化)」を行うか、は非常に重要です。DX化(デジタル化)中にあれもやりたい、これもやりたい、と次々追加していると、「DX化(デジタル化)で給与計算を短縮したい」という当初の目的が忘れられ、ともかくDX化(デジタル化)すれば良いになってしまうことがあります。目的と手段を履き違えないように目的を明確にしておくことは重要です。DX化(デジタル化)すること自体が目的になってしまうと、全て終わってから「DX化(デジタル化)したけど、この作業って紙の方が早くない?」という本末転倒な状況になってしまうことがあります。

■業務手順がブラックボックス

DX化(デジタル化)に取り掛かる際に最初に確認するのは、業務手順になります。アナログ作業にマニュアルは存在せず、作業手順はベテラン社員の口伝によって伝えられることも珍しくありません。必然的に現場ベテラン社員へのヒアリングを実施することになりますが、1回のヒアリングでは漏れや勘違いが発生するため、実際の給与計算手順を再現してみます。

再現過程で無駄な作業や形骸化したローカルルール、さらには労働基準法違反となっているような内容が表面化してきますので、ルール改正や就業規則の改定を必要に応じて実施します。

■既得権や古いルールが最大の障壁

勤怠システムや給与計算システムの最大の敵はシステムで自動化できないローカルルールとなります。代表例が「特定条件を満たしたときだけ支給される手当」「特定のパターンを繰り返したときだけ発生する控除」となります。前提条件が特定できるなら対策はできますが、中小零細企業では度々見られる「現場感覚で発生する例外」や「社長の気持ちで発生する手当や控除」はDX化(デジタル化)においては排除すべきものになります。しかしながら、新しい業務手順を阻害するからと単純に既存の手当を廃止してしまうと、労働条件の不利益変更となってしまい、労務トラブルの種になってしまうため、必要に応じて代替措置の設定も必要になります。

■社員説明会の実施で社員のやる気を出せるか

いざ紙の勤怠管理から電子打刻に変更するとなると打刻方法や残業・休暇の申請方法を社内で共有していく必要があります。打刻マニュアルを作成して社員に説明会を行います。この説明会をしっかり行わないと総務や人事労務担当がしばらくITサポートセンター状態になってしまうため、説明内容は十分に丁寧に行う必要があります。いくら時間をかけて準備してきても実際に使用する社員に協力してもらえないと意味がありません。経験上、打刻システムなら3か月から6か月程度で正常に回り出します。二度手間になりますが、しばらくは紙の勤怠管理とも並行することも必要になります。

以上のように労務管理のDX化の流れをご説明しましたが、DX化(デジタル化)による最大のメリットは、社内の業務スキームを整理・適正化できる点です。バックオフィス人材の採用も難しくなっているなか、バックオフィスの目標を定め、業務の棚卸しを行い、ブラックボックスを排除し、最適化を行う必要性はどの会社にもあると思います。

\ DX化(デジタル化)を検討している方へ /

人事労務業務のデジタル化(DX)支援

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給与計算代行(アウトソーシング)

この記事を書いている人 
-Writer-

石川宗一郎

社会保険労務士/代表

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【略歴】昭和59 年生まれ、千葉県八千代市出身。東邦大学卒業。大学卒業後、インターネット業界で友人と起業。その後、浅山社会保険労務士事務所(現エフピオ)へ入社。社労士業の面白さにどっぷりハマる。

日々起こる人事や労務に関する相談対応、就業規則や賃金制度の策定、買収前調査(労務デューデリジェンス)などを担当。

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タグ:
DX , システム化 , デジタル化 ,
   

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