】インプット/アウトプット アウトプットするという事について考えてみた。

研修のご依頼内容で、
・アウトプットの練習も入れたコミニケーション研修をお願いします。
・実践型の研修をお願いします。
というご依頼を、最近よくいただくようになってきた。

従来から、研修のご依頼をいただくと、
依頼元のリクエストをもとにして、参加型の研修を取り入れた提案をし、
依頼主が許す限りは、少しの時間であってもコミュニケーションの実践を取り入れてもらってきていた。ようやく時代が追いついてきたか、とちょっぴりほくそ笑むわたしが居る。

今日のコラムは、アウトプットする、ということについて、考えてみたい。

・コミュニケーション研修
・管理職研修
・ハラスメント研修
・社会人基礎力研修
研修のタイトルはいろいろだが、座学で知識だけインプットしたところで、
その場ではわかったつもりになれるのだが、研修後、いざ実際にやってみるとうまくいかないものである。そもそも、何を実践するというのだろうか。
そして、研修の後に残るものとして、紙の資料だけというのは、講師を務める側としては、
いかんともしがたいものである。
なにか、身体で覚えて、少しでも研修後の時間から、翌日からでも、研修を受けた何らかの効果があってほしい、と願い、アウトプットできるもの、アウトプットする練習を組み入れるようにはしてきた。

私自身の最近のアウトプットの練習といえば、このところ、ほぼ毎週土曜日におこなってきていた、
キャリアコンサルタントの勉強・練習、だろうか。
わかっちゃいるけど、できない、とは、まさにこのことで、いつも凹んだり、忸怩たる思いしていた。
少し、今回は長いコラムにはなってしまうが、内容を記載してみようと思う。

キャリアコンサルタント自体に興味をもったのは、どこか別の機会にお話するとして、
カウンセリングの練習は、簡単にいえば、
直前の15分のセッション(相談内容)を、セッションの直後に端的にまとめて5分の口頭試問でアウトプットを行うというもの。
カウンセラー(相談にのる側)役と相談者(相談する側)役に分かれて、あるお題についての、
15分の相談をおこなう。
15分の相談がおわったや否やその直後、
・できたことは何ですか、できなかったことは何ですか?
・当初の相談者の問題は?
・カウンセラー側から見て相談者の問題は?
・今後、どのように対応(相談・支援)していきますか?
と立て続けの質問に答えていくというもの。
15分のセッションは、もちろんボケーっと聞いているだけではNGで、
傾聴技法を駆使し、相談者の気持ちを取り逃さず反応することが求められる。
メモもNG。
日頃の社労士としての、結論を出す、回答を示す、などというコンサルティングの姿勢もいったん忘れて、まずは聞く・聴くことに全神経を集中する。
一方で、あたまの片隅は高速回転していて、背景には何がある?相談者の環境は?相談者がいま、ここで心配しているのは何が一番心配なのか?と目の前に集中しつつ、静かに並行処理しているのは、日ごろの社労士業務に近いことかもしれない。

さて、この5分の口頭試問でのアウトプットがなかなかの曲者である。
直前15分のやりとりをまとめるだけ、そこでの重要事項、エッセンスを端的に述べるだけ、
なのだが、これがうまくいかない。
わかっているようで、自分自身の言葉で、かつ、相談者の方の気持ち、意図、悩みを端的にまとめる、
ただ、これだけなのだが、うまくいかない。
言葉が足りずに時間が短すぎたり、
説明が長すぎて5分をオーバーしたり、
説明が的を得ていなかったり、
相談者の方の表現と異なる表現になってしまったり、
と、散々たるものだ。

普段の仕事の場を離れて、こういった、アウトプットの練習をする機会を持っていることは、
とても幸せなことかもしれないな、と思いつつも、
できない自分を体感するのは、なかなか、この年になると勇気がいるものでもある。

さて、こういった、人と人とのコミュニケーションにまつわる研修は、
システム化、オフィスのDX化が叫ばれる時代だからこそ、逆に無くならない。
むしろ、今の時代だからこそ、人と人とがうまく関係性を構築することが重要視されてきた。
結果、冒頭のような、アウトプットの練習を取り入れた研修をお願いします、とアウトプットが重視され、研修でも求められる時代がやってきたということになるのかもしれない。

ここで、アウトプットの前提となるのが、人間同士のコミュニケーションであり、
コミュニケーションの簡単な練習として、どんな研修でも取り入れやすいのが
下記の方法である。

コミュニケーションて大事だよ、傾聴すること(人の話をよく聞くこと)は大事だよ、とは本当によくどの研修でもスライドで説明されている。
人の話をよく聞くこと、なんて、実は子供のころから誰だって言われていることである。
それでも、社会人になっても言われ続ける、ということは、実はできていないことだから、である。
(私も30数年前に言われたことで、今の時代でも言われている。
というか、30数年後の今は、息子を相手にして、今度は自分自身が言う側である)
この、人の話をよく聞くことが大事だよ、というのは、下記を実際にやってみると、
おーこれは大事だ、と皆さんに納得していただける、非常によくわかる研修方法である。

会議スタイルの研修の場合は、隣どおしで向かい合って2人1組になってもらう。
机をはさまず、椅子に座って向き合って、頭から足元まで、上下全身がお互いみえることが大切である。
向かい合った2名のうち、1名には、下記をお願いする。
・腕を組み、
・目線は相手を見る、
・口は真横に閉じて開いてはいけない、
・うなずいてはいけない、
・あいずちもいけない、
・質問もしてはいけない、
・身振りも手振りもしてはいけない、

この状態で、もう1名には、好きな話題を1分しゃべってもらう
話題は喋りやすい話題であれば、なんでもよい
・好きな食べ物
・週末の予定
・好きな俳優、映画、テレビ番組
・趣味、、、、

さて、結果は、、、
好きな話題だから、1分なんて簡単に、お話できるはず。
でも、目の前の人が、何も反応しないだけで座っているとなると、
話し手はどんな気持ちになるのだろうか?

そして、聞き手も、反応してはいけない、と
普段の会話で何気なく行っている、
あいずち、うなずき、身振り手振りの反応を禁じられ、ただ、座って1分間相手の話を耳で聞くだけ、
となったら、どんな気持ちがするものだろうか?

実際に行ってみて、
話し手側、聞き手側、双方から感想をお聞きしてみると、本当に興味深い、
そして素直な感想をみなさんおっしゃってくださいます。

これが、聞いてもらえていない、つまり、傾聴してもらえていない、
という体験なんだ、ということが、簡単に実感できる、簡単な研修のひとつである。

これは、単なる一例になるが、
こんな、ちいさな体験をちりばめた、アウトプットを取り入れた研修を企画しているエフピオであり、
エフピオのいち社労士である津田である。

本日のコラムは、日常の体験の中から、少し記載をしてみました。

寒い日が続いています。
仕事始めは、必ず、身体を動かして、血行を良くしてから仕事に取り掛かりましょう。
いつものことだからできるはず。なのにできない、これが、この時期の労災事故にもつながっています。
決して慢心がそこにあるからでは、ありません。
できるはずだから、だからこそ、できるコンデイションにしてから取り掛かりましょう!

この記事を書いている人 
-Writer-

津田千尋

社会保険労務士

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【略歴】千葉県千葉市出身。東京農工大学工学部生命工学科卒業。
卒業後は、理化学機器業界のとある輸入商社に入社し、国内外の商品の仕入・販売・営業・サポートまで幅広く経験。平成27年2月に浅山社会保険労務士事務所(現エフピオ)へ入社。

労務に関する相談対応、就業規則の策定、各種手続き業務、研修講師などを担当。

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