】令和元年、新入社員の理想の上司は?

 桜の季節もひと段落し、改元「令和」にむけた準備で皆様忙しい毎日かと思われます。この4月に新入社員を迎えられた会社の皆様、新入社員の方々は研修を修了し、それぞれの現場でのデビューを飾るころでしょうか。先輩社員と新入社員との現場同行の姿を見かけることが増えてきました。

 さて、今回は、3年以内離職率と、令和時代の新入社員にとっての理想の上司像についてお伝えしたいと思います。

3年以内離職率は、近年、特に高くなっているわけではない。

 最初にお伝えしますのは、厚生労働省から毎年発表される、新規学卒者の離職状況からのデータになります。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000137940.html

(厚生労働省 新規学卒就職者の在職期間別離職率の推移 下記グラフは大学卒の場合)

 このデータは、毎年厚生労働省から発表され、事業所からハローワークに対して、雇用保険の加入届が提出された新規被保険者資格取得者の生年月日、資格取得加入日等、資格取得理由から学歴ごとに新規学卒者と推定される就職者数を算出し、更にその離職日から離職者数・離職率を算出しています。

 さて、最近の値で目立って大きな変化は、あるでしょうか。若者の早期離職がニュースになってはいますが、実際には、この20年間をみても、さほど大きな変化があるわけではありません。厚生労働省から発表されている実際のグラフでは、中学卒から大学卒までの学歴毎にわかれており、学歴が高くなるにつれ、3年以内離職率は低くなってはいるものの、大学卒では約3割が3年以内に離職していることになります。しかしながら、この20年をご覧いただいてわかるとおり、いずれも大きな変化といえるほど、離職率が上がっているわけではありません。

 では、なぜ、最近若者の早期離職がニュースになるのでしょうか。仕事とのミスマッチ、社内の(上司との・同僚との)コミュニケーションがうまくいかない、会社の将来性・安定性に期待が持てない(と最初から諦めてしまう)など、一昔前は「自己都合退職」としてまとめてしまっていた、本当の退職理由が不明だった「離職」を、会社様側が「何が原因だったのだろう」と真剣に考えている証拠なのではないでしょうか。離職者の「本音」に真剣に向き合う企業様が増えてきたように感じます。求人難の時代に、採用した一人でも大事に育てていきたい、という会社様の思いを近年強く感じます。浅山事務所で毎年4月に開催しております、新入社員研修に、大切なわが社の新入社員様を研修に預けていただけるお客様が増えてきていることも、新入社員に本気で向き合っているお客様が増えてきていることの結果だと受け止めています。ご参加いただいた新入社員の方々には、仕事とのミスマッチという理由で早期退職を選ぶことにならないように、社内でのコミュニケーションを活発に行い、仕事の愉しみを少しでも早く見つけてもらいたいと切に願うばかりです。

 さて、そんな新入社員が考える理想的な上司とは、どんな上司なのでしょうか。

新入社員が考える理想的な上司は?会社が考えているとおりの上司でしょうか?それとも・・・・

 一般社団法人日本能率協会が発表した、2018年度新入社員意識調査報告書によると、さきほどの離職理由の中にあった、職場・上司とのコミュニケーションについて、仕事上で不安に思う新入社員が大変多いことがわかります。

 理想的だと思う上司や先輩について聞いたところ、全体では、

「部下の意見・要望を傾聴する上司・先輩」

「仕事について丁寧な仕事をする上司・先輩」

「部下の意見・要望に対し、動いてくれる上司・先輩」がトップ3を占めています。4年前(2014年調査)、8年前(2012年調査)と比較すると、より、「自分の意見を聞いてくれる上司(傾聴する)」「自分を認めてくれる(部下の意見・要望に対し、動いてくれる)」といった回答割合が伸びていることがわかります。つまり、新入社員は、会社が思っている以上に、会社の上司の言動をよく見ている、自分の言動にどう対応してくれるのか(反応してくれるのか)をよく見ている、ということになります。

※参考 理想だと思う上司・先輩、過去調査
(2014、2012年との比較)

過去2回の調査に比べ、「仕事について丁寧な指導をする」「言動が一致している」の回答割合が下がっている一方、「部下の意見・要望を傾聴する」「部下の意見・要望に対し、動いてくれる」「仕事を任せて見守る」といった回答割合が伸びている。

一般社団法人日本能率協会2018年度 新入社員意識調査報告書より抜粋

浅山事務所の行う社員研修

 浅山事務所では、先に述べました4月の新入社員研修のほかにも、ハラスメント研修、管理職研修、評価者研修といった、社内研修を数多く承っております。既存のパッケージされた研修内容を行うのではなく、お客様の要望に応じたカスタマイズを行うことがほとんどです。時間配分はもとより、社長の(会社の)「今回の研修で伝えたいメッセージ」を大切に、事前にヒアリングを行ったうえで、満足度の高い研修を行うように心がけております。最近のお問合せで多いのが、やはり、コミュニケーションに関する社内研修はお問合せが多くなっています。定着率を高めるために、新入社員に対する上司・先輩側の言動に意識をしている会社様が多くなっていることがうかがえます。

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