】パート・契約社員にも家族手当を支給!?同一労働同一賃金をめぐる待遇格差の最高裁判決

 最高裁判所は、10月13日、同月15日に同一労働同一賃金に関する重要な判決を言い渡しました。10月13日、正規労働者と非正規労働者の間の賞与と退職金の格差が争われた2つの事件で、格差を合法とする判決を下しました。10月15日、日本郵便の時給制契約社員計14人が、正社員との間の手当や休暇制度に関する格差を不服として訴えた3つの裁判で、扶養手当など5つの待遇差を不合理とする判決を下しました。

 この判決は、パート・契約社員等の非正規労働者の待遇を決めるにあたり、大変重要な裁判です。 

大阪医科薬科大学事件 令和2年10月13日最高裁判決

大阪医科大の元アルバイト職員の50代女性(勤続3年)が、正社員と同じ仕事なのに賞与が無く、待遇差は違法として大学側に差額の支給を求めた裁判。また、業務外の疾病による欠勤中の賃金についても争われています。

最高裁判決では、賞与および業務外疾病での欠勤中の賃金ともに不合理でないとして支払う必要なし、としています。最高裁判決の判断に影響を与えたと考えられるポイントは3点です。1つ目は、契約の上限が定められており、長期雇用を前提としていなかった点です。大阪医科大では、アルバイトは有期契約を結んでおり、雇用期間の上限は5年でした。5年以上の有期契約社員は存在せず、例外はいませんでした。原告の在職期間は約3年2カ月と、長期雇用ではなかった点が挙げられています。2つ目は、アルバイト・契約社員から正社員への登用制度があった点です。アルバイト職員から契約職員、契約職員から正社員への試験による登用制度が設けられており、原告は受験したが不合格していた事実がありました。きちんと段階を踏んで正社員に登用する制度があったことがポイントです。3つ目は、業務内容が正社員とアルバイトで大きな違いがあった点です。アルバイトの業務内容は相当に容易だったと判断されています。

メトロコマース事件 令和2年10月13日最高裁判決

 東京メトロの子会社「メトロコマース」の契約社員として駅の売店で販売員をしていた女性4名が正社員との間に不合理な待遇格差があるとして、損害賠償を求めた裁判。

 最高裁判決では、退職金が争点とされました。結論は、不合理でないとして支払う必要なし、としています。最高裁判決の判断に影響を与えたと考えられるポイントは2点です。1つ目は、契約社員から正社員への登用制度があった点です。前述した大阪医科薬科大学事件と同じ理由です。2つ目は、業務内容が正社員と契約社員で、業務の内容・責任の程度が異なっていた点です。正社員はシフトの穴を埋めたり、エリアマネージャー業務に就くことがありましたが、契約社員にはそれが無く、あくまでも売店業務に従事していました。

 また、メトロコマースでは、1つ致命的なことがありました。それは、契約社員就業規則に定年を定めていたことです。有期契約であったのに、定年を65歳と定めていたため、長期雇用が前提と判断されていました。退職金は、長期雇用に対するインセンティブの性質を持っています。本件は、ギリギリのところで会社側が勝った裁判と言えます。

日本郵便事件 令和2年10月15日最高裁判決

日本郵便に勤務する時間給契約社員が正社員との労働条件の相違が違反するとして、正社員の諸手当との差額の支払を求めた裁判。

 本件は、扶養手当、有給の病気休暇、夏期冬期休暇、年末年始勤務手当、年始期間の祝日給について、正社員と格差があるとして争われましたが、結論はすべて不合理であるとして支払うべき、としています。今回は扶養手当に焦点を当てポイントを整理します。

 会社側の主張は、「社員の採用から定年までの長期の雇用期間の中で、ライフステージによって生活のための費用の負担が増額することを考慮し、設計されており、長期雇用が前提とされていない契約社員には妥当しない」としていましたが、最高裁ではそれを否定し、相応に継続的な勤務が見込まれるのであれば、扶養手当の趣旨は妥当するというべき、として支払いを命じています。実態として、契約社員は契約期間が6カ月以内または1年以内とされていましたが、契約更新を繰り返しており、勤務年数が10年以上の人もいました。

違反と言われないために

正社員と非正規社員の労働条件を比較する際に、①業務の内容、②業務に伴う責任の程度、③人材活用の仕組み・運用等(配置変更の範囲)を考える必要があります。①から③がどのように正社員と差があるのか、自社で洗い出しをし、待遇格差があるものについては是正をしていく必要があります。

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