】台風直撃時の休業と給与について

この秋の千葉県は、相次ぐ台風の直撃、集中豪雨による河川氾濫と自然災害に翻弄されることとなりました。被害に遭われた方々に、心よりお見舞い申し上げます。

当事務所も停電で営業が一時止まるような軽度の被害ができましたが、多くの顧問先企業様で水害や長期の停電など大きく被害が出てしまいました。今回の災害で私が社労士として直面した問題は、(1)どの段階、どのレベルで休業指示あるいは早退指示を出すべきか?(2)休業したとして休業手当は必要なのか?の2点でした。

(1)どの段階、どのレベルで休業指示あるいは早退指示を出すか?

 気象庁は早期注意情報を公表しています。(ホームページで閲覧できます)警報級の現象が5日先までに予測された場合、その発生確率に応じて「高」「中」の2段階で発表しています。「高」が発表された場合には休業や就業時間の短縮などを検討すべきでしょう。

また最近は鉄道各社が台風接近時に事前の運休計画を発表してくれますので、運休計画が発表された段階で業務日の振替、有給取得推進、休業などの判断をするのが実務的だと思われます。

なお台風時に出勤させてはならないという法律はありませんが、企業とは従業員の安全配慮義務を負っています。台風の中、出勤させ従業員が負傷した場合は会社が責任を負う可能性があります。したがって「個人の責任だから・・・」では済みません。無計画に出勤させる行為は従業員から反感を買いますし、事故が起こった場合には企業イメージを大きく毀損しかねません。

(2)休業したとして休業手当は必要なのか?

労働基準法第26条では、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、休業手当(平均賃金の60%以上)を支給しなければならないことになっています。台風や集中豪雨のような不可抗力の場合は使用者の責に帰すべき事由に該当しないとされています。この不可抗力とは①その原因が事業の外部より発生した事故であること、②事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であることの2つの要件が必要となります。

 そこでいくつかの例をあげて検討したいと思います。

■事業所が水没、停電、倒壊などの直接被害を受けて休業せざる得なくなった場合

■従業員の自宅が被害にあった、あるいは通勤途中の道路が寸断されて出勤できない場合

■公共交通機関が前日運休したため、従業員が出勤できなくなった場合

■会社からの休業指示が出ていなかったが本人判断で欠勤した場合

→事業主責任はないため、休業手当の支給義務は生じないと解されます。

悩ましいのは次のような事例です。

■警報が発令されていたため休業を指示したが実被害がなかった場合

■公共交通機関の混み合いが予測されたので営業時間を短縮し、早めに帰宅させた場合

→こういった必ずしも業務不可能ではなかった場合、事業主都合で休業したことになる可能性があります。

 実務対応上はこういった場合は特別休暇として賃金支払いをすることが多いように見受けられます。これは従業員のモチベーション維持にもつながります。

あるいは事前に予測された段階で労働日を事前振替したり、各人との合意のうえ年次有給休暇を一斉に付与したりする方法を実施する企業もあります。従業員の安全を維持しつつ給与額が減らないように企業の努力が求められます。

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